メルマガ・広報誌

vol.295(6月10日)

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◎ 中国警察が国内で活動するソロモン諸島  巻き返しを狙う豪新政権
(2022.5.31、excite/ニッポン放送)
https://www.excite.co.jp/news/article/AllNightNippon_364189/
 地政学・戦略学者の奥山真司が5月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。
5月30日に行われた中国の王毅外相と太平洋諸国10ヵ国との外相会議について解説した。
 中国と太平洋諸国、安全保障などの新構想で合意に至らず
 中国の王毅外相は5月30日、訪問先のフィジーで南太平洋を中心とした10ヵ国との外相会議に参加した。
オーストラリアのメディアによると、会議で中国は10ヵ国と安全保障や警察、貿易、データ通信で協力する新たな協定案を示したが、
一部の国から懸念が出たため今回は合意に至らなかった。
 飯田)ソロモン諸島、キリバス、サモア、フィジー、トンガ、バヌアツ、
パプアニューギニア、ニウエ、ミクロネシア連邦という国々です。
 既に中国の警察が国内で活動 ~ソロモンショック
 奥山) 私は今回のことは「ソロモンショック」と言ってもいいくらいの、
大きな外交的問題になっていると考えています。
 飯田)ソロモンショック。
 奥山)ソロモン諸島では、既に中国の警察が国内で活動しているという話も出ています。
日本も気にしなくてはいけないのですが、オーストラリアの裏側で中国が具体的に活動し始めたということで、
周辺国やアメリカ、オーストラリアでは大きな問題になっています。「ここに手を伸ばしてきたか」と、
気になる動きではあります。
飯田)そうですね。
奥山)この地域において、中国がオーストラリアなどに手を伸ばしている状況は、
我々はもちろん知っていたことではあるのですが、具体的に警察まで出してくるということになると、
主権はどこなのかという根本的な話にもなります。
 オーストラリアの総選挙でソロモン諸島への外交が争点となり、政権交代となった
 奥山)この地域はオーストラリアが大きな力を持っていますので、
当然、オーストラリアがケアしていかなければならないのですが、それができていなかったのです。
今回、オーストラリアの総選挙があり、9年ぶりに政権が交代しました。
オーストラリアの選挙などは、我々があまり気にしないところではあるのですが、
選挙ではまさに外交的なところが争点になったのです。
 飯田)ソロモン諸島に対する外交が。
 奥山)オーストラリアがソロモン諸島を中国側にみすみす渡していた。
なぜケアできなかったのかということを、当時の野党である労働党側が攻撃したのです。
それによって、オーストラリアの政権与党だった自由党が負けてしまったのです。
 太平洋諸島の国々のマネジメントができていなかった ~そこへ中国が先に手を出した
 奥山)オーストラリアは自分の外交、特に裏庭である太平洋諸島の国々に対するマネジメントができていなかった。
そこへ中国側が先に手を出してきたのです。
オーストラリアは「我々も忘れていませんよ」という感じなので、外交関係では後手に回っています。
 飯田)オーストラリアは。
 奥山)ただ、現地の国々にとっては、中国とオーストラリアをはじめとする西側を一応、
手玉に取ることはできるのです。それをうまく使うことによって、
その国々の生活向上や経済発展に資する感じにはなるのだと思います。
 飯田)中国と西側を手玉に取ることで。
 奥山)しかし、基本的には、西側がうまく手を差し伸べることができなかったために隙をつかれ、
中国がそこに入ってきているという現状は変わりません。チェスのような状況がまた生まれているのです。
 日本はラグビー選手などを通じて人的交流はあるのだが
 飯田)日本は5Gなど、いろいろな技術協力をオーストラリアやアメリカと組んで行っています。
日本は戦前からのつながりがあります。
 奥山)あとはラグビー選手が太平洋諸島から日本にたくさん来ていて、人的な交流はあるのですが、
経済に関しては勢いのある中国が手を差し伸べてきて、「うちの方に来ないか」と言われると、
現地の人たちも「そうですね」ということになってしまうのです。
我々西側も頑張って、いろいろとケアしていかなくていけません。
 飯田)またこの国々は、台湾と国交がある国も多いのですよね。
 奥山)それが中国によって引きはがされてきているというのも、懸念すべきところです。

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◎ 米NZ首脳会談、インド太平洋での戦略的パートナーシップ強化を約束
(米国、ニュージーランド)(2022.6.1、JETRO)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/06/da155db6fdad8e10.html
 米国のジョー・バイデン大統領は5月31日、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相とホワイトハウスで首脳会談を行い、
「太平洋、インド太平洋そして世界のための21世紀のパートナーシップ」と題する共同声明を発表した。
 両国は共同声明において、
(1)地域のアーキテクチャと安全保障、
(2)インド太平洋の繁栄、
(3)21世紀の諸課題の3点について、長期的なパートナーシップを強化していくと記し、特に(1)に多くの分量を割いた。
 (1)において、両国は、インド太平洋が国際ルールに基づき、主権、強靭(きょうじん)性
および繁栄を備えた国々で構成される地域となるようコミットしていくとし、その上で、開かれた包括的で
、安定的かつ繁栄に満ちたインド太平洋にとって、強固で結束したASEANの重要性を認識しているとした。
そのほか、ニュージーランドも参加する太平洋諸島フォーラム(PIF、注)や、日米豪印のクアッド(QUAD)、
豪米英安全保障協定(AUKUS)の重要性も強調した。具体的な懸念として、
中国とソロモン諸島が締結した安全保障協定に触れつつ、国連海洋法条約(UNCLOS)に従い、
南シナ海など地域における航行の自由と上空飛行の自由を支持することを再確認した。
そのほか、新疆ウイグル自治区での強制労働問題や、朝鮮半島の非核化、
ロシアによるウクライナ侵攻など幅広い問題に対する結束をうたっている。
 (2)では、2国間の貿易投資関係を拡大するために、貿易投資協定(TIFA)に基づく
年次会合を再開することを明らかにした。地域的には、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を進展させるために、
両国がその他12の創設メンバーとともに協力していくと明記し、フィジーの参加表明を歓迎するとした(2022年5月30日記事参照)。
また、2023年に米国が主催するAPECや、閣僚会合を間近に控えるWTOについて、地域における貿易の拡大、
ルールに基づく貿易システムの維持が重要と指摘している。
 (3)については、喫緊の課題として気候変動対策を挙げた。両国は低炭素経済への移行に向けて、
技術革新や投資の促進で協力するとともに、開発途上の島国も支援していくとしている。
そのほか、海洋資源の保護・持続可能な利用、新型コロナウイルスの根絶や将来の公衆衛生危機対応など、
幅広い課題で協力していくことを確認した。
(注)1971年に発足した枠組みで、大洋州諸国首脳の対話の場および地域協力の核となっている。
オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア,フィジーなど16カ国・2地域が加盟し,
政治、経済、安全保障など幅広い分野における地域協力を行っている。外務省説明ページを参照。
(磯部真一)

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◎ 中国と太平洋島しょ国、第2回外相会議を開催(2022.6.1、新華社通信)
https://news.livedoor.com/article/detail/22262698/
 【新華社スバ6月1日】中国の王毅(おう・き)国務委員兼外交部長は5月30日、フィジーの首都スバで、
同国のバイニマラマ首相兼外相と共同で第2回中国・太平洋島しょ国外相会議を主宰した。
会場とオンラインを組み合わせた会議には、キリバスのマーマウ大統領兼外相、サモアのフィアメ首相兼外相、
ニウエのタンゲランギ首相兼外相、パプアニューギニアのエオエ外相、バヌアツのアティ外相、
ミクロネシアのエリエイサー外相、ソロモン諸島のマネレ外相、トンガのウトイカマヌ外相、
太平洋諸島フォーラム(PIF)のプナ事務局長が出席した。

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◎ East New Britain to gain full autonomy in 2023 - Post Courier(2022.6.2、Post Courier)
https://postcourier.com.pg/east-new-britain-to-gain-full-autonomy-in-2023/
He said major road maintenance works will also commence in 2024 and will be funded by
the Japan International Cooperation Agency (JICA).

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◎ ぎりぎりで避けられた最悪の事態、中国と太平洋島嶼国の危うい合意が先送りに / 
中国・王毅外相の南太平洋外交の顛末(2022.6.2、 JBpress)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70386
 中国の南太平洋外交は、西側国際社会が懸念していた最悪の事態を何とか避けることができた。
 最悪の事態とは、中国と太平洋島嶼国10カ国とが、
警務、安全保障、海事、データセキュリティなどを含む包括的な地域協力合意の草案について、
5月30日にフィジーの首都スバで行われる中国・太平洋島嶼国外相会議において調印することだった。
この地域協力合意の草案は、ロイターなどによって5月25日にスクープとして報じられた。
だが、結果的にこの合意の調印はされず棚上げされたのだった。
 こんな合意がなされた日には、南太平洋地域が事実上、中国軍事支配圏に入りかねず、
太平洋地域の安全保障枠組みが大きく揺らぐところだった。
特に、中国の軍事的脅威にさらされている台湾や日本にとっては、
太平洋側から挟み撃ちにされかねない状況になる。
 だが調印の棚上げで一安心、危機は去ったとは到底言えない。
南太平洋は今や米中が地政学的につばぜり合いを交わす最も激しい地域になりつつあるのだ。
 中国の南太平洋外交は、西側国際社会が懸念していた最悪の事態を何とか避けることができた。
 最悪の事態とは、中国と太平洋島嶼国10カ国とが、警務、安全保障、海事、
データセキュリティなどを含む包括的な地域協力合意の草案について、
5月30日にフィジーの首都スバで行われる
中国・太平洋島嶼国外相会議において調印することだった。
この地域協力合意の草案は、ロイターなどによって5月25日にスクープとして報じられた。
だが、結果的にこの合意の調印はされず棚上げされたのだった。
 こんな合意がなされた日には、南太平洋地域が事実上、中国軍事支配圏に入りかねず、
太平洋地域の安全保障枠組みが大きく揺らぐところだった。
特に、中国の軍事的脅威にさらされている台湾や日本にとっては、
太平洋側から挟み撃ちにされかねない状況になる。
 だが調印の棚上げで一安心、危機は去ったとは到底言えない。
南太平洋は今や米中が地政学的につばぜり合いを交わす最も激しい地域になりつつあるのだ。

中国の野心が垣間見える協力枠組み
 事の経緯を簡単に説明すると、
中国が太平洋島嶼国10カ国と結ぼうとしている地域的な包括的枠組み合意に関する機密文書をロイターが入手し、
5月25日にその内容を暴露した。
れは、中国政府が国交を結んでいる太平洋島嶼国10カ国(ソロモン諸島、キリバス、サモア、フィジー、トンガ、
バヌアツ、パプアニューギニア、クック諸島、ニウエ、ミクロネシア連邦)との間で結ぶ
「中国・太平洋島嶼国共同発展ヴィジョン」「中国・太平洋島嶼国共同発展5カ年計画」(2022~2026)
という地域的包括的な協力枠組みの協議草案だった。

 南太平洋地域全体で警務、安全保障、自由貿易、海事、通信・データセキュリティ協力を進めていくという内容で、
この枠組みを通じて南太平洋島嶼国の盟友としての支持を勝ち取り、太平洋島嶼国の盟主として
米豪に対抗していこうという中国の野心が垣間見えるものだった。

 このスクープのタイミングは、王毅外相率いる20人に及ぶ外交代表団が5月25日からおよそ10日にわたって、
ソロモン諸島はじめとする南太平洋島嶼国8カ国を巡る「アイランドホッピング外交」を展開する直前のことだった。
この王毅外交のハイライトは、5月30日にフィジーの首都のスバで開催される「中国・太平洋島嶼国外相会議」で、
中国はこの会議の場で参加国にこの枠組みに合意させ、高らかに共同コミュニケを発表する心づもりだったようだ。
ミクロネシア連邦大統領が草案反対を呼びかける

 中国はすでに共同コミュニケ草案を作成し、5カ年計画草案とともに太平洋島嶼国10カ国に英文稿を送りつけていた。
 ロイターによれば、この草案を見たミクロネシア連邦のパヌエロ大統領は5月20日、
オーストラリアのモリソン前首相、ニュージーランドのアーダーン首相、
太平洋島嶼国フォーラムのプナ事務局長を含む21人の太平洋地域の指導者に手紙を書き、
中国が起草したこの草案に反対するよう呼び掛けたという。

 中国がこの太平洋地域の通信網、海洋と資源をコントロールしようと企んでいると見受けられたからだ。
さらにこうした中国の計画は、この地域にオーストラリア、ニュージーランド、日本、米国などとの衝突のリスクをもたらす、とした。
「太平洋地域が米中冷戦に巻き込まれる」との懸念を示したのだ。
 中国がこの太平洋地域の通信網、海洋と資源をコントロールしようと企んでいると見受けられたからだ。
さらにこうした中国の計画は、この地域にオーストラリア、ニュージーランド、日本、米国などとの衝突のリスクをもたらす、とした。
「太平洋地域が米中冷戦に巻き込まれる」との懸念を示したのだ。
 中国・太平洋島嶼国外相会議の開催地となったフィジーのバイニマラマ首相はもともと親中派で知られていた。
だが、ここにきて「これまでのように、太平洋島嶼国は団結して、新たな地域協議についてあらゆる討論を行い、
各国の共通認識(コンセンサス)を首位に置きたい」と、コンセンサス・ファーストを主張、慎重な態度を見せた。
 オーストラリアのアルバニージー新政権のペニー・ウォン外相もすぐにフィジーに飛んで、
この合意をさせないように動いた。サモアのフィアメ首相も
「検討時間が足りない」「太平洋諸島フォーラムで諮るべきだ」と先送りを主張。
ニウエ政府も検討に時間が必要との立場を5月30日に表明した。
 こうして、合意は先送りされた。

「やりたい放題できると誤解させてはいけない」
 だが、中国がこれであきらめたわけではない。10カ国のうちの何カ国かは、
この合意に積極的な姿勢を見せていたという。
 中国が起草した「共同発展ビジョン」では、中国は10カ国に100万ドル以上の支援を提供し、
自由貿易区(FTA)を設立し、南太平洋島嶼国に中国14億人市場を開放しようと持ち掛けている。
同時に中国が南太平洋10カ国の現地警察に対して研修を行い、また研究所を建設し、
ネットセキュリティに参与し、ハイテク・AIシステムを駆使したスマート税関設置などの支援をするという。
同時に中国は周辺海域の詳細な「海洋モニタリング」を行い、自然資源をより多く獲得していこう、という考えらしい。
 さらに太平洋島嶼国においてハイテク改革を推進し、経済発展と国家安全建設を進め、
気候変動対策や医療衛生関連の支援を表明している。
一見すると非常に魅惑的な提案に見える。だがミクロネシア連邦のパヌエロ大統領は、
この中国側の提案については慎重に考慮すべきだと訴え、特にFTA建設については、
「中国側は不誠実である」としている。
 その「不誠実」とする根拠については詳しく説明されていないが、
他の途上国で中国によって引き起こされている「債務の罠」のやり方を見れば、その意味はだいたい想像がつくだろう。
ミクロネシアとしては「中国がこの地域でやりたい放題できると誤解させないようにすべきだ」と指摘していた。
 また、この草案の中で安全問題について「伝統・非伝統の安全」という表現があるのだが、
この「非伝統安全」というのがくせものだ。
一般に「非伝統的安全問題」といえばテロや国内の反政府デモなどを想定しているのだろうが、
こうした島嶼国にありがちな部族対立から来る権力闘争や反政府運動まで、
中国の警察力が干渉することを許しかねない。
 たとえばソロモン諸島は、中国との間で警務協力や「安全協議」にすでに調印しているが、
親中派のソガバレ政権は、こうした中国の「警察力」支援を利用して、
国内の反ソガバレ派市民や民主活動家を排除しようとしている気配がある。
親中派ソガバレ政権には中国企業と癒着したり中国の黒社会やカジノ利権にからんだりする腐敗疑惑があり、
市民からの反対運動が起きている。
これを中国式のやり方で、治安を乱す不穏分子として弾圧することになれば、
「中国式独裁」が南太平洋島嶼国にも拡大しかねない。
サモアのフィアメ首相はソロモン諸島と中国の「安全協議」についても、
一度「太平洋島嶼フォーラム」で協議すべきではないか、と指摘している。
中国が唱える「米中太平洋2分割論」
 さて、この包括的な共同発展ビジョンについての合意は先送りされたわけだが、
中国の太平洋地域に対する野望は一層はっきりしてきた。
 米政府系メディアの「ラジオ・フリー・アジア」に
米国セント・トーマス国際研究現代語言学部主任の葉耀元が次のような分析コメントを寄せていた。
「中国は太平洋島嶼国との協力を模索しており、
それによって米国の第1列島線(沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ防衛ライン)の封鎖を突破し、
太平洋地域においてより良い戦略的優勢を得ようとしている」
「もし、中国が第1列島線を越える正統な口実を欲するとしたら、
必ず第1列島線の外の太平洋島嶼国と軍事協力の案件をつくり、地域の安全計画を通じて、
これら島々、海域で軍事演習などを行うだろう」
 中国は21世紀初頭から「米中太平洋2分割論」を唱え、
米国をライバル視して、国際社会を太平洋のハワイ、サモアをつなぐ第3列島線あたりで2分割し、
その西を中国、東を米国が盟主として支配する国際秩序の再構築をイメージしている。このために、
中国は台湾を奪還し、第1列島線を越えて太平洋に進出していく必要があるのだが、
台湾有事については台湾自身も、そして日米ともに非常に警戒している。
ここで盲点となっていたのが、第2列島線(小笠原諸島からグアム、
パプア・ニューギニアをつなぐ)の向こうに位置する南太平洋島嶼国だ。
 南太平洋の安全保障はオーストラリアが柱となっているが、オーストラリア自身が長らく中国に対して無警戒で、
モリソン政権がはっきりと反中路線に舵を切るまでは、オーストラリア政財界は中国の浸透工作のいいようにされてきた。
中国はその間、チャイナマネーと華僑ネットワークを駆使して南太平洋島嶼国の政治経済界にも浸透してきた。
パプア・ニューギニアもフィジーもキリバスもソロモン諸島もすでに親中国家として認識されている。
中国の軍事基地が建設されるという噂もある。
 これは囲碁で言えば大ゲイマに打ち込まれたようなもので、台湾を挟み撃ちにすることもできれば、
オーストラリアと米国の連携を妨害することもできる。
日本にとっても他人事ではないだろう。
 今回は包括合意はならなかったが、王毅はキリバスでは、気候変動、経済方面の10項目の協力の備忘録に調印。
サモアとも経済、技術、文化などの協力強化合意に調印し、平和や安全保障問題でも議論した。
太平洋島嶼フォーラムのプナ事務局長とも会談し、気候変動問題への中国のコミットメントへの歓迎が打ち出された。
中国の南太平洋への進出の勢いはむしろ増す傾向だ。
日本が担う役割
 太平洋島嶼国が警戒しながらも中国の進出に隙を与えてしまうのは、
オーストラリアや米国らアングロサクソン国家特有の「上から目線」に対する反発があるとの見方もある。
オーストラリアが南太平洋島嶼国を自分の裏庭といって憚らないような傲慢さへの反発が、
アジア人の顔で大金を持ってくる中国に隙を与えてしまうのかもしれない。
 だが、中国が華人以外の民族を蛮族・夷狄と蔑視し、その文化・伝統を蹂躙する国であることは、
自国内の少数民族弾圧の現状をみても一目瞭然だ。安全保障協力という家の合鍵を預けるような信頼関係を結ぶに足る国家でなかろう。
 米国的傲慢さと中国的アコギさの間で揺れる小国の気持ちを真に理解できるのは日本ではないかと常々思っている。
今後、国際社会の安全保障の枠組みの再構築をめぐり米中大国がより激しいつばぜり合いを展開していく中で、
アジアでほぼ唯一成熟した民主主義と自由主義経済を発展させた日本が担う役割は、
東南アジア、インド太平洋、南太平洋の立場の弱い小国の中国化を防ぎながら、
米国らによる地域安全へのコミットメントをうまく調整することではないだろうか。
そういうポジションをとりながら、将来の新たな国際社会の枠組みの中で、
日本が唯一無二の世界から頼りがいある国家に転換していく機会を模索していけるのではないだろうか。

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◎ パプア、貿易など中国との関係強化へ 王外相が訪問(2022.6.3、朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN2NK0F3.html
 [シドニー 3日 ロイター] - 南太平洋島しょ国8カ国を歴訪中の中国の王毅外相は3日、
パプアニューギニアでマラペ首相と会談し二カ国間の協力協定を締結した。
 1975年までオーストラリアの統治下にあったパプアニューギニアは資源に富むが開発が遅れている。
 マラペ首相は声明で「あらゆる国・地域の友人でどことも敵対しない」のが同国の外交政策だとした上で
「中国はわが国の産品の主要な買い手だ。2カ国間の商業や貿易、その他の分野において今後も結びつきを強めていく」と述べた。
中国はパプア産天然ガスの50%超を購入している。
 一方、オーストラリアのウォン外相は3日にトンガを訪問しソバレニ首相と会談した。
 ウォン氏は「われわれは、乗り込んできて要求を突きつけようとする政府・国ではない」と述べた。
 ソバレニ首相は、1月の海底火山噴火と津波発生時にオーストラリアがいち早く救援の手を差し伸べたことに謝意を示した。
 トンガとオーストラリアが民主主義、法による統治、他者の権利や自由の尊重という方針を共有し、
それが両国関係の重要な信条となっていると会見で述べた。 

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◎ 佐藤健寿展 奇界/世界 精霊の家(2022.6.6、 朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/CMTW2206064000002.html?iref=comtop_AreaArticle_05
 パプアニューギニア北部に広がるセピック川流域は、アニミズムを色濃く残す地。
精霊ングワルを祀(まつ)る「精霊の家」では様々な儀式が行われ、節目となる通過儀礼もここで執り行う。
聖なる食べ物であり、それ自体が信仰の対象でもある主食のヤムイモに、仮面をかぶせて祖霊に見立て、
豊作に感謝する儀式もある。
18日から9月11日まで、高知県立美術館(088・866・8000)。会期中無休

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◎「海底の戦争遺産」の写真展開催!大和ミュージアム
(広島県呉市)で令和4年6月11日(土)から7月3日(日)まで(2022.6.6、Phileweb )
https://www.phileweb.com/prtimes/index.php?id=6372
OCEAN PLANET
 OCEAN PLANET(代表:水中写真家・戸村裕行)は、
太平洋戦争に関連する世界各地の海底に眠る艦船・航空機・潜水艦などを自ら潜水し撮影した
水中写真展「群青の追憶」~海底に眠る戦争遺産を追う~を、
令和4年6月11日(土)~7月3日(日)の会期で大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)1階・大和ホールにて開催致します。
 本展は戸村裕行が撮影した約450点の写真を70枚のパネルにまとめ、
解説と共にエリア別や時系列で展示。
その中には終戦後の昭和21年7月にアメリカの核実験の標的艦としてビキニ環礁で最期を迎えることになった
呉海軍工廠で建造された戦艦「長門」の姿も含みます。
本来、2020年3月に開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、
大和ミュージアムが臨時休館となり、やむを得ず開催中止となりました。今回は、待望の開催です。

【概要】
戸村裕行水中写真展
呉市制120周年記念事業
「群青の追憶」
海底に眠る戦争遺産を追う

・開催期間
令和4年6月11日(土)~7月3日(日)
・時間
午前9時~午後6時(入館は閉館の30分前まで)
・場所
大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)1階 大和ホール
※ 観覧には大和ミュージアム常設展示観覧券が必要です。
(一般:500円、高校生:300円、小中学生:200円)
・共催
大和ミュージアム
・協力
OMデジタルソリューションズ株式会社
・後援
公益財団法人 水交会
・機材協力
HEADJapan株式会社 mares事業部
StreamTrail
株式会社フィッシュアイ
株式会社モビーディック
・機材サポート
株式会社イノン
・技術協力
SDI/TDI/ERDI(ダイビング指導団体)

【撮影エリア】
インドネシア(マノクワリ・ゴロンタロほか)、北マリアナ諸島(サイパン)、グアム、
ソロモン諸島(ガダルカナル島・ギゾ島・ツラギ島・ニュージョージア島)、パプアニューギニア(ラバウル)、
パラオ、マーシャル諸島(ビキニ環礁)、フィリピン(コロン湾)、ミクロネシア連邦(チューク州/旧名トラック諸島)
小笠原諸島(東京都)、古宇利島(沖縄県)、種子島・徳之島・屋久島(鹿児島県)、柱島(山口県)

【展示される主な艦船、航空機】
戦艦長門・戦艦陸奥・米航空母艦サラトガ・独重巡洋艦プリンツオイゲン・軽巡洋艦酒匂・駆逐艦追風・
駆逐艦菊月・駆逐艦五月雨・駆逐艦文月・米掃海駆逐艦エモンズ・給糧艦伊良湖・水上機母艦秋津洲・
特設潜水母艦平安丸・特設航空機運搬艦富士川丸・輸送船鬼怒川丸・九七式飛行艇・九八式直接協同偵察機(特攻機)・
零式艦上戦闘機五二乙型・零式艦上戦闘機二一型・零式水上偵察機・一式陸上攻撃機・天山・彩雲・二式水上戦闘機・
二式飛行艇・伊号第一潜水艦 ほか多数。

●大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)
戦艦「大和」を建造した軍港、日本一の海軍工廠のまちとして栄え、
戦後は、世界最大のタンカーを数多く建造する明治以降の「呉の歴史」と造船・製鋼を始めとした各種の「科学技術」を紹介する博物館。
館内には、零式艦上戦闘機六二型などの貴重な実物資料の他、
船を中心とした科学技術の原理を体験・体感を通してわかりやすく紹介している展示室があります。

・所在地
〒737-0029
広島県呉市宝町5番20号
TEL:0823-25-3017
・公式サイト
https://yamato-museum.com/

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◎ パプアニューギニアとサイバーセキュリティに関するMoUを締結 豪政府(2022.6.6、 科学技術振興機構)
https://spap.jst.go.jp/oceania/news/220602/topic_no_02.html
オーストラリア外務貿易省サイバー問題・基幹技術担当大使(Cyber Affairs and Critical Technology)の
トビアス・フィーキン(Tobias Feakin)博士と、
パプアニューギニアのスティーブン・マタイナホ(Steven Matainaho)情報通信技術相は3月30日、
両国のサイバー問題での協力に関する新たな了解覚書(MoU)に署名した。
このMoUは、2018年に締結された両国のサイバーセキュリティでの協力に関するMoUに基づき、
パプアニューギニアのサイバー能力の強化とサイバー問題への対応に関する協力をより重点的に強化するものとなる。
サイバー問題に対する強靭性(レジリエンス)を形成し、
「安全で、セキュリティで保護され、繁栄した」パプアニューギニア、豪州、インド太平洋地域に向けた
より幅広い支援を行うための協力の下地となる。
またMoU締結と併せて、パプアニューギニア情報通信技術省の代表者らからなる視察団が豪州を訪問し、
デジタル変革庁(Digital Transformation Agency)やオーストラリア国立大学(ANU)
国家安全保障カレッジ(National Security College)等の政府・学術機関の代表者と会談した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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◎ パプアニューギニアの巨木登場 伊予市中山の体験型施設 自由に触れて感性養って(
2022.6.7、愛媛新聞)https://nordot.app/906893318532349952
 愛媛県伊予市中山地域に、パプアニューギニア原産の巨木「クウイラ」の丸太がモニュメントのようにそびえ立っている。
場所は自然の中での遊びを通じて子どもたちの生きる力を育む体験型施設「こよみスペース」。
施設のシンボルとして自由に触れて感性を養ってほしいと願っている。
 施設によると、クウイラは生命力が強く、パプアニューギニアでは「神の木」とあがめられている。
現在は輸入が禁止されており、日本の木材業者から購入したという。

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◎ テイクオフ:パプアニューギニアは、…(2022.6.8、NNA)
https://www.nna.jp/news/show/2346706
 パプアニューギニアは、7月に総選挙を行う。
交通網が発達していないことを考慮し、投票期間は約20日間にわたる。
一院制のこの国では、比例代表制はなく小選挙区制を採用している。
出馬への条件が比較的少ないこともあり、事業で成功した人らが、
いとも簡単に立候補するのでいつも驚いている。これまで、同国にいる自分の友人も複数人立候補しているが
、いずれも落選している。毎回一つの選挙区で10人以上が立候補して倍率が高いことが理由だろう。
今回の選挙では、自分がパプアに住んでいた当時の大家の妹が立候補している。
パプアでも女性の社会進出が課題で、地元基幹病院の婦長などの要職を務めた彼女だけに、
女性視点の政治に期待している。ただ、いかんせん彼女の選挙区には彼女を含めて29人も立候補している。
果たして、結果はいかに。(欣達)

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