メルマガ・広報誌

vol.332(6月20日)

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◎    豪との安保条約が停滞 島しょ2国、主権巡り懸念強める(2023.6.9、時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023060800839&g=int
 【シドニー時事】太平洋の島国パプアニューギニアとバヌアツが
それぞれオーストラリアとの間で進める安全保障条約の調整が停滞している。
島しょ国側が主権を侵害されかねないと懸念を抱き、慎重になっているためだ。
両条約を巡る動きの減速は、島しょ地域への関与強化を競う中国と西側諸国の駆け引きにも影響しそうだ。

 パプアと豪州は1月、両国軍の共同運用・訓練などを可能にする安保条約を締結する方針で合意し、
6月の署名を目指していた。しかし、パプアが自国内の港や空港の利用を米軍に認める防衛協力協定を5月下旬に締結後、
主権侵害や米中の軍事衝突に巻き込まれる恐れがあるとして野党勢力などが反発。学生らによるデモも活発化した。

 これを受け、パプア政府は豪州側に条約署名の延期を申し入れた。
AFP通信などによると、パプアのマラペ首相は6月6日に議会で、
一部条項が主権侵害につながる可能性があるとの認識を示し「起草作業は途上にある」と述べた。
ただ、どの条項が該当するか詳細な説明を避けている。

 一方、バヌアツと豪州は昨年12月に安保協定に署名したが、バヌアツ側で主権侵害への懸念が拡大。
議会での批准は早くても今年末にずれ込む見通しだ。
バヌアツのカルサカウ首相は6月6日、
「協定が一方的でバヌアツの主権を反映していないという汚名を返上しなければならない」と発言。
バヌアツ政府の同意がない限り豪軍の入国やデータ収集を認めないことを明確化する方針を示した。

 豪州がパプア、バヌアツとの条約発効を目指すのは、中国が昨年、
ソロモン諸島と安保協定を締結するなど島しょ地域への影響力拡大を図っているためだ。
これに対し、島しょ国側は米豪など西側と中国の双方と関係を維持し、
片方の陣営に完全に組み込まれるのを避けようとしている。

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◎    中国が影響力拡大を図るなか…パプアニューギニアと英国、安保連携を強化
(2023.5、大紀元)https://www.epochtimes.jp/2023/05/149045.html
2023年4月下旬、パプアニューギニアと英国が広範な安保に関して連携す
ることで合意署名し、両国の防衛関係を更新した。

中国が同地域における影響力拡大を図る中、両国の外相がポートモレスビーで地位協定を調印した。
地位協定は通常、駐留などで外国軍事関係者が当該国内で活動する際に役割や権利などの地位を規定する協定である。
パプアニューギニアのジャスティン・トカチェンコ外相の発表によると、
同協定には本質的に広範な内容が含まれており、
同太平洋島嶼国の国防軍と英国軍の共同訓練がすでに開始されている。

トカチェンコ外相は、「当国の防衛に関して、両国関係を強化・深化することが目的である」とし、
「同協定を締結したことで、
防衛関連の課題や訓練といった多くの事柄の対処に関連する両国間の関係が簡素化される」と説明している。
パプアニューギニアは2023年初頭にオーストラリアとも広範な安全保障条約を締結しており、
米国との防衛協力協定締結に向けた交渉も進んでいる。
軍事・安全保障に主軸を置いたAUKUSと呼ばれる三国軍事同盟を締結している米英豪は、
同盟に基づき原子力潜水艦をオーストラリアに導入する計画で合意している。
これは中国政府牽制を目的とするものとして広く捉えられている。

台湾を外交的に孤立させ、国際社会・国際組織と自国との提携関係の構築を企む中国は、
ここ数十年の間に対太平洋島嶼国(PIC)の貿易、インフラ、融資を劇的に推進している。

太平洋地域に対する米国の関心が高まっていることから、
太平洋島嶼国としてはこの動向がそれぞれ自分たちの国にメリットをもたらすことを望んでいるとは言え、
米政府と中国政府の覇権争いが激化する中、均衡を求める欲求も膨らんでいる。
パプアニューギニアとの協定は安保上の相互利益を反映したものと説明する
ジェームズ・クレバリー(James Cleverly)英外相は、
「友好国の安全は自国の安全につながる」とし、
「世界の狭小化が進んでいることで、安保リスクはどの国にでも発生し得、
また多くの異なる要因により引き起こされる可能性がある。

これまで考えたこともないような多くの事柄が起因となる場合もある」と話している。
トカチェンコ外相の発言によると、今回の協定は直接的に中国を牽制することが狙いではなく、
気候変動、バイオセキュリティ、防衛など、同地域に複数存在する安保上の課題に対応することを目的としている。
同外相は、「パプアニューギニアは従来からの同地域の提携諸国であるオーストラリア
、ニュージーランド、米国、インドネシアとの関係を固守することを明言しておく。
 当地域の安保に関しては、従来からこうした諸国が当国の提携国である」と述べている。
パプアニューギニアはまた、2022年11月にフランスとも地位協定を調印している。
同外相が発表したところでは、向こう12か月の間にフランス軍軍艦の4度の寄港が予定されている。

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◎    日米豪印戦略対話4か国首脳陣 優先事項とインフラ計画を強調(2023.6.12、大紀元)
https://www.epochtimes.jp/2023/06/156079.html

通称「Quad(クワッド)」として知られる日米豪印戦略対話(4か国戦略対話)の各国首脳陣は
2023年5月20日に開催された首脳会合で、共有するビジョンの強化と優先課題の計画策定を目的として、
同戦略対話加盟国の「善を推進するグローバルな力」としての地位を再確認した。
 同首脳会合ではインド太平洋地域の平和と安定に対する日米豪印間の取り組みを強化することで一致している。

日米豪印戦略対話は過去に5回の首脳会合を実施しているが、
今回三度目となる対面形式の会合は、地域の地政学的、人道的、環境的懸念に関する率直な意見交換を行う機会となった。
今回の会合は年次で開催される主要7か国首脳会議に合わせて日本の広島で開催されたが、
 「アジアの民主主義の弧」構想の一環として戦略的同盟と位置付けられる日米豪印戦略対話は、
地域問題に取り組むために定期的に会合を開催している。

加盟国首脳陣は東南アジア諸国連合(ASEAN)、太平洋諸島フォーラム(PIF)、
環インド洋連合(IORA/旧環インド洋地域協力連合)といった他のインド太平洋諸国や連合と緊密に連携することを確認し合い、
 協力や意思の疎通、そして各国がそれぞれに重要な要因となる「自由で開かれたインド太平洋」の構築を強調した。

アンソニー・アルバニーズ豪首相は、この地域を「主権が尊重され、
国家規模を問わずにあらゆる国が平和を維持できるという地域バランスのメリットが存在する」地域と表現している。
豪首相は、ナレンドラ・モディ印首相、岸田文雄首相、ジョー・バイデン米大統領等の他の首脳陣と共に、
地域の課題に対する集団的なアプローチを提唱した。 首脳陣は会談後に発表した共同声明で、
「いずれの国も支配せず、いずれの国にも支配されない地域、すなわちすべての国が威圧されることなく、
自らの未来を決定するための主体性を発揮できる地域を追求する」と述べている。

平和・安定の他に日米豪印戦略対話が優先する課題として、
インフラ、健康衛生、気候変動、新興技術、サイバーセキュリティ、宇宙、海洋状況把握などが挙げられた。
外交問題評議会(CFR)アジア太平洋研究のシーラ・スミス上級研究員がボイス・オブ・アメリカに語ったところでは、
今回の会合では国家間において高信頼性の通信を確保する技術の必要性と共に、太平洋島嶼国の平和と安定に焦点が当てられた。
道路から電力やインターネットサービスに至るまで、首脳陣は地域のインフラ向上と連結性の改善について意見交換を行っている。
ジャパンタイムズ紙が報じたところでは、
今回の会合では官民連携で海底ケーブルネットワークを支援する喫緊の必要性が強調された。
これにより、信頼性が高く安全なインターネットサービスをインド太平洋地域で実現することができる。

今回発表された新たなイニシアティブ「日米豪印・インフラ・フェローシップ・プログラム」を通して、
同加盟国は政府関係者を対象として1,800人以上に奨学金や研修(ワークエクスチェンジ)、
また他の幹部プログラムを提供する予定である。これは、地域のインフラ実務者が自国で質の高いインフラを設計、
建設、管理できるようにすることを目的とするものである。
今回の会合で一致した優先事項を簡潔にまとめると以下のようになる。
海洋領域認識(MDA)を強化することを目的として、
「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」の対象をインド太平洋地域の提携諸国にも拡大する。
2022年の東京首脳会合で発表された同パートナーシップは、IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)の阻止、
気候変動や自然災害の監視、海洋関連法の遵守を目的として、法執行機関に海洋状況把握のためのデータを提供することを主軸とするものである。
医療従事者の育成、疾病監視、医療情報システムの調整などを通じて、
疾病やウイルスの発生を検知して迅速に対応できる地域の能力を構築することで、健康衛生の改善を目指す。
モバイルネットワークにおいてオープンRAN(オープン無線アクセスネットワーク)を展開することを目的として
、パラオと提携する。 オープンRANにより、携帯電話などの機器を接続してネットワークを構築できるため、
ウェブアプリケーションのアクセスにおいて異なる供給業者がサービスを提供できるようになる。
刻々と変化する同地域でイニシアチブを達成するためには協力体制が不可欠であると、日米豪印は主張している。
 ジャパンタイムズ紙が伝えたところでは、岸田首相は首脳会合に先立ち、
「法治に基づく自由で開かれた国際秩序が脅威に曝されている」と述べている。

共同声明を通じて、日米豪印戦略対話4か国は、「インド太平洋地域の提携諸国と緊密に協力を図りながら、
この不確実性と好機の時代を共に乗り切るべきであると確信している」とし、
「すべての国が地域の平和、安定、繁栄に貢献すると共に
、主権と領土一体性の原則を含めた国際法および法治に基づく国際秩序を堅持する役割を担っている」と述べている。

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◎    PM supports Japan’s nuclear disposal plan(2023.6.13,National)
https://www.thenational.com.pg/pm-supports-japans-nuclear-disposal-plan/

PRIME Minister James Marape has supported Japan’s planned wastewater disposal into the Pacific Ocean
 provided it is done in a controlled manner that does not adversely affect marine life.

Marape said he affirmed Japan’s effort in maintaining international standards
 while treating the radioactive chemical wastewaters
through a process called advanced liquid processing system (Alps)
where the radioactive materials are removed to meet regulatory standards.

Marape said that the International Atomic Energy Agency (IAEA) had been working closely
with the Japanese government to review the safety of wastewater for release and PNG would support that
as long as it complied with international standards and regulations.


“PNG is of the view that Japan with its high compliance to international standards
 and regulations is meeting the international requirements in managing nuclear waste,” he said.

“If the government of Japan is meeting all the requirements setup by IAEA,
and if they are confident that these wastewaters would not impact marine life,
then they should go on release these treated wastewaters.

“For us in the Pacific our position is the same as
it always has been — a free nuclear waste Pacific,” Marape said.
Marape said that both former and current Japanese Prime Ministers, Yoshihide Suga and Fumio Kishida,
had assured him that Japan was doing everything to increase the safety of the wastewater
and would not allow release until they confirmed that it was safe to release.

He said in light of the nuclear reactor meltdown at Fukushima in 2011 which was
responsible for the death of over 19,000 people and rendered an entire township uninhabitable,
it was best that the wastewater be released into the sea in a controlled manner.
Meanwhile, Japanese embassy deputy head of mission, Shinichi Maruo, told
The National that Japan had already received clearance from IAEA
but were waiting for Pacific Island Forum leaders to give their approval.

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◎    処理水放出「理解、着実に広がっている」 官房長官(2023.6.15、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA152Q50V10C23A6000000/
松野博一官房長官は15日の記者会見で、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り発言した。
「真摯な取り組みの結果、各国における理解が着実に広がっている」と話した。
パラオのウィップス大統領が14日に岸田文雄首相と会談し「原発視察で、
安全性確保のため専門家が綿密な形で取り組んでいると直接確認できた」と述べたことを挙げた。
パプアニューギニアのマラペ首相から安全性確保の取り組みへの理解と支持の表明があったとも紹介した。
「処理水の安全性について国際原子力機関(IAEA)のレビューを受けていることを含め、
科学的根拠に基づき高い透明性をもって丁寧に説明を行ってきている」と強調した。
「政治レベルや専門家間の対話を着実に実施している」とも述べた。

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◎    Japanese volunteer distributes books to schools(2023.6.14、Post-curier)
https://www.postcourier.com.pg/japanese-volunteer-distributes-books-to-schools/

This is particularly so for the stages of growing up in young children
as it broadens their mindset about their surroundings.

A volunteer from the Japanese International Corporation Agency (JICA)
who was formerly attached with the East New Britain provincial education division
and voluntarily taught at the Kalamanagunan primary school in
Vunamami, Kokopo, was back in the province after his departure in 2017.

Sasase Masaki, during an interview with the provincial local radio,
Radio East New Britain (RENB), said his return was purposely to boost
the education system by helping young children with aid materials like reading books.

“My return to the province is to help education in East New Britain
 by voluntarily distributing reading books to primary schools.
“The reading books that will be distributed are illustrated in Tok Pisin
and will be distributed to children,” said Masaki.

The Tok Pisin illustrated reading books titled Poipoi Na Pipia Monster
will be distributed to Kalamanagunan primary school, Kokopo primary school
and Fatima Mary Immaculate (FMI) Vunapope primary school.

Masaki said some of these reading books would be given to the Kokopo
Urban Local Level Government (KULLG) who will assist him in the distribution
to young children in the province.
Masaki further added that the St. Mary’s Hospital Vunapope children’s wards
would also be recipients of these illustrated reading books.

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◎    ボーイング、737MAX受注好調 787は8機納入=5月実績(2023.6.15、Aviation Wire)
https://www.aviationwire.jp/archives/278942

 ボーイングの2023年5月の引き渡しは、前年同月比15機増の50機だった。
受注は46機増の69機で、主力小型機の737 MAXが前年同月比9倍以上の受注を獲得した。
競合のエアバスは5月に63機(前年同月47機)を引き渡し、17機(同13機)を受注した。
引き渡しの内訳は737が36機(前年同月30機)、767が3機(1機)、777が3機(3機)、787が8機(ゼロ)だった。

 787の内訳は標準型の787-8が2機、長胴型の787-9と超長胴型の787-10が3機ずつとなった。
787-8はいずれもアメリカン航空(AAL/AA)へ引き渡し、
787-9はトルコのターキッシュエアラインズ(THY/TK)とリース会社2社が受領。
787-10は、KLMオランダ航空(KLM/KL)を傘下に持つエールフランス-KLMグループと、
ブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)とエバー航空(EVA/BR)へ引き渡した。

 737は36機中35機が737 MAXで、サウスウエスト航空(SWA/WN)の11機やライアンエア(RYR/FR)と
ユナイテッド航空(UAL/UA)の6機ずつなど、各社で導入が進んだ。
 受注は737が59機(前年同月6機)、767がゼロ(ゼロ)、777がゼロ(10機)、787が10機(7機)だった。
 787のうち787-8は2機で、パプアニューギニア国営のニューギニア航空(ANG/PX)から受注。
残り8機は787-9で、匿名顧客1社から受注した。737はすべて737 MAXで、匿名顧客1社が59機発注した。

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◎    Trio get scholarships to study as interns in Japan(2023.6.19、National)
https://www.thenational.com.pg/trio-get-scholarships-to-study-as-interns-in-japan/

THREE final-year computer science students from the University of Technology (Unitech)
have been awarded scholarships to do an international exchange internship programme in Japan.

 Christopher Antipas and Adrianna Marpena will be studying at the Nara Institute of Science
and Technology in Japan for a month and Paul Paten will remain in Unitech to do his internship online.

 Math and computer science department lecturer Sankwi Abuzo said
this internship is a first-of-its-kind programme that the Nara Institute of Science and Technology
 in Japan is offering.

“For this programme our students will do practical and theoretical research work
and at the same time demonstrate work ethics,” Abuzo said.
 “We encouraged students to apply for it and the three students who did, got accepted.”
The internship programme is under the Japan Student Services Organisation (Jasso)
which provides scholarships to overseas students and implements international exchange programmes.

Abuzo said the Jasso scholarship will cover fees for two of their students while the university
and the math and computer science department also committed K25,000 for travel arrangements to and from Japan
for the two students and tuition for the third student.
 Student intern Christopher Antipas said there has not been enough opportunities
for international exchange programmes for students in the Pacific.
 “It is a privilege to be a recipient of this internship program
and to be the first three students to represent Papua New Guinea,” Antipas said.
 Student intern Adrianna Marpena said the programme is from June 8 to July 15.

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◎    岸田首相 アジアの発展「イノベーションで無限の可能性」(2023.6.19、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71945810W3A610C2M12500/

5月21日に閉会した主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)は世界が歴史の転換点を迎えるなかで、
直面する様々な難しい課題に正面から向き合った。歴史的な意義は3点あった。

第一は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持と強化だ。
第二にグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国への関与だ。
ウクライナからゼレンスキー大統領も招き国連憲章の原則を守ることなどで招待国も交えて見解の一致をみた。
第三に広島という平和を象徴する場所で核兵器による威嚇や使用はあってはならないというメッセージを強く打ち出せた。

日本が提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」は放置すれば分断と対立に向かいかねない国際社会を協調に導くための指針となる。
価値観を一方的に押しつけない、特定の国を排除しないといった考え方を共有することが重要だ。
他国を威圧したり、不透明な開発金融によりいわゆる「債務のわな」に陥れたりすることは認められない。
私は3月に「FOIPのための新たなプラン」を発表した。
多様な価値観や文化、歴史を受け入れ相手を尊重する「インド太平洋流のアプローチ」を掲げた。
日本は以前からこうした考えを大切にしており、東南アジア諸国連合(ASEAN)外交で実践してきた。

アジアの未来を築く上ではイコールパートナーシップに基づく多層的な連結性の実現と、
政府や民間を含めた「共創」がキーワードになる。歴史を通じて構築した信頼が日ASEANの基盤になっており、
その上に経済、スポーツ、文化、芸術などで人的交流を一層進める。

成長著しいアジアは世界の一大市場になりつつある。
一方で貧富の差や交通渋滞、金融・情報・エネルギーインフラの脆弱性など多くの社会課題にも直面している。

解決への熱意が一大イノベーション拠点へと変えようとしており、日本とアジアは新たな関係を築けると確信している。
カンボジアで使われているデジタル通貨「バコン」を実現したのは日本のスタートアップだ。

日本はイノベーションに挑戦するスタートアップを米国やオーストラリア、ニュージーランドとともに力強く応援していく。
アジアは社会課題を成長のエンジンに転換することができれば無限の可能性を持つ地域だ。
イノベーションがスマートフォンの「アプリ」だとすると、貿易などのルールやインフラ整備、経済安全保障は「基本ソフト(OS)」にあたる。
活発な経済活動のためには自由で公正な経済ルールが不可欠だ。
「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」は1年前に立ち上げた新たな経済枠組みだ。
日本はアジアの一員として米国との橋渡しをしつつ有意義な成果を実現していきたい。
デジタルを巡っては東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)にデジタルイノベーションセンターを立ち上げる。
アジア域内の信頼性のあるデータ連携などに取り組む。

こうした取り組みは国同士の強固な関係の上にこそ花開く。
新たなFOIPプランでは東南アジアと南アジア、太平洋島しょ国、韓国を協力の重要地域に挙げた。

日ASEAN関係は今年、50周年を迎える。
12月の特別首脳会議で「次の50年」を描く新たな協力ビジョンを打ち出し次のステージに進める。
南アジアに関して日本はスリランカの債務問題で債権国間の議論をリードしてきた。
スリランカが一刻も早く成長の軌道に戻れるように取り組む。
太平洋島しょ国は気候変動による海面上昇やハリケーンなどのリスクを抱える。
手を差し伸べて脆弱性の克服をともに進めることを重視している。
韓国とは尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と12年ぶりにシャトル外交を再開した。
G7サミットで今年で3回目の首脳会談を開きFOIPの実現についてかみ合った議論ができた。

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