メルマガ・広報誌

vol.339(8月30日)

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◎    発展途上国を中心に広がる日本式教育 「非認知能力」にも注目
(2023.8.21、教育新聞)https://www.kyobun.co.jp/news/20230821_03/

全国一律の教育水準を維持するための学習指導要領や教員養成、
子どもたちの協調性を育むための「特別活動」――。
こうした日本の教育を特徴づける制度や取り組みが近年、国際的に注目を集めている。
海外からの要請を受け、日本政府も海外での普及を積極的に支援しており、
「日本式」を採用する動きが発展途上国を中心に広がっている。
パプアニューギニアの教科書づくりを日本が支援

日本の教科書をベースに編集されたパプアニューギニアの国定教科書を示す芹澤社長
 「現地の教員のスキルは確実に上がってきている」

7月20日、東京都千代田区にある教科書会社「学校図書」の芹澤克明社長はこう言って笑みを浮かべた。
南太平洋に位置するパプアニューギニアでの展開を計画している新たな教育支援プロジェクトについて話を進めるため、
現地での9日間の滞在を終え、つい1週間前に帰国したばかりだという。

国内で小中学校の理科や算数・数学の教科書を発行している同社が、
本格的にパプアニューギニアの初等教育に関わるようになったのは7年前のことだ。
独立行政法人国際協力機構(JICA)のプロジェクトに参画し、
初等学校の3~6年生の算数と理科の国定教科書づくりに協力してきた。
同社は以前から日本の教科書の英語版を発行しており、これをベースとして、
現地の教員たちと協議を重ねながら、使い勝手の良いものに改良していった。
授業での教え方や板書の例などを記した教員向けの指導書づくりもサポートし、
教科書とともに2020年から現地の学校で使われはじめている。


 JICAによると、パプアニューギニアはもともと、オーストラリアの支援で教育カリキュラムを整備し、
学年ごとに身に付けるべき学習目標を定めたものの、子どもたちの学力は伸び悩んだ。
背景には指導力のある教員が不足していたことに加え、教科書や指導書などの教材がなかったために、
授業の質を担保することが難しいという事情があった。

そこで今度は、日本の協力の下で改めてカリキュラムを作り直すとともに、
国定教科書づくりに取り組むことになったという。

 パプアニューギニアは交通網の整備が遅れており、地域による教育環境の差も大きい。
JICAの担当者は「全国一律の教科書ができたことで授業改善が進み、底上げにつながってほしい。
教科書づくりで終わりではなく、今後は教員の養成や研修の面でサポートを続け、
現地でのより良い教育の実現に協力していきたい」と話す。
 こうした日本式の教育の導入は、パプアニューギニア以外の発展途上国でも進められている。
JICAはこれまで、ラオスやエルサルバドル、モザンビークで理数系の教科書づくりなどを支援してきた。
また、日本政府は16年2月、エジプト政府との間で「エジプト・日本教育パートナーシップ」を締結し、
保育園から大学まで日本式教育の特徴を生かした包括的な協力を行っていくことで合意。
掃除や日直、朝の会・帰りの会といった「特別活動」の普及などが進められている。

 文科省も16年度から、官民連携で日本式の教育の海外展開を推進する事業「EDU-Portニッポン」をスタート。
発展途上国などで教科書づくりやカリキュラム整備、教員養成などに協力している日本企業やNPO法人、
大学などをサポートしてきた。
海外では、日本の授業以外の教育活動が、数値で測りづらい「非認知能力」に与える効果も注目されているといい、
過去には部活動や運動会を普及するプロジェクトも展開された。
 パプアニューギニアの国定教科書づくりに協力してきた学校図書は今年1月、
初等学校の1年生と2年生の算数と理科の国定教科書づくりを請け負う契約を新たに結んだ。
これにより、初等学校の算数と理科は全学年で「日本式」の教育が導入されることになる。
現地ではインフラ整備における中国の存在感が高まっているが、
芹澤社長は「教育制度という面では、
体系的に学ぶことができる日本のシステムが高く評価されていると感じる」と話す。

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◎    ソロモン諸島、原発処理水放出に反対「計画延期を」(2023.8.22、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB226EW0S3A820C2000000/

【シドニー=今橋瑠璃華】ソロモン諸島の首相府報道官は22日、日本経済新聞に対し、
処理水に関して「太平洋に廃棄しても安全であるという十分な科学的証拠が得られるまで、
計画の延期を求める立場は変わっていない」と述べた。
ソロモンは7月、放出計画の妥当性を認めた国際原子力機関(IAEA)の報告書の公表後に声明を出し、
日本の放出計画について「依然として懸念する」と表明していた。
同月にソガバレ首相が訪中した際に中国とまとめた共同声明では、
両国が海洋放出を巡り「関係国に慎重な姿勢で対処するよう求める」と記した。
太平洋の島しょ国などで構成する太平洋諸島フォーラム(PIF)は日本政府の海洋放出の決定後、
処理水を巡る統一見解を出していない。
議長国であるクック諸島のブラウン首相は18日の声明で「加盟国が科学の評価に基づき、
自国民の最善の利益のための立場をとることを認めている」と述べた。

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◎    太平洋島しょ国、福島原発の処理水放出で見解相違も=クック諸島(2023.8.23、ロイター)
https://jp.reuters.com/article/japan-fukushima-pacific-idJPL6N3A404N?il=0
[シドニー 23日 ロイター] - 太平洋の島しょ国などで構成する太平洋諸島フォーラム(PIF)の
議長国であるクック諸島のブラウン首相は23日、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出について、
国際的な安全基準に合致していると認識しているが、全ての太平洋島しょ国が同じ立場にあるわけではなく、
PIFとしての見解が一致しない可能性があると述べた。
同首相は「複雑な問題だ」と表明。国際原子力機関(IAEA)が処理水の放出を監視すると述べた。
IAEAは先月、クック諸島を訪れ、処理水に関する報告書についてPIFに説明した。
フィジーのランブカ首相は21日、IAEAの報告書に基づき、処理水の海洋放出を支持すると表明している。
パプアニューギニア、フィジー、バヌアツ、ソロモン諸島、ニューカレドニアのカナク社会主義民族解放戦線(FLNKS)で構成する
「メラネシアン・スピアヘッド・グループ(MSG)」は24日に福島原発の処理水放出について協議する。

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◎    Countdown starts to Japan's firstrelease of treated nuclear wastewater
(2023.8.24, Post Courier)
https://www.postcourier.com.pg/countdown-starts-to-japans-firstrelease-of-treated-nuclear-wastewater/
AUCKLAND: A Japanese government spokesperson says it is “not wilfully trying to divide the Pacific”
 over the Fukushima waste release.

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◎    自衛隊とパプア軍隊、なぜ交流? 安保環境の構築狙う 
中国の海洋進出も意識=回答・松浦吉剛(2023.8.24、毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230824/ddm/003/070/075000c
 なるほドリ 自衛隊とパプアニューギニアの軍隊は交流が盛んだと聞いたよ。

 記者 南太平洋の島しょ国・パプアは地震(じしん)や火山噴火(ふんか)にたびたび見舞(みま)われます。
道路復旧などの対処を担うのが軍の工兵大隊です。
陸上自衛隊は2020年度、重機を整備するための教育プログラムをオンラインで始めました。
工兵大隊は22、23年度、隊員4人が茨城県(いばらきけん)の陸上自衛隊施設学校(りくじょうじえいたいしせつがっこう)を訪れ、
ブルドーザーや油圧ショベルの点検・整備の実習を受けました。

 Q うまくいくといいね。
 A 今年7月に施設学校で学んでいた隊員の一人は「学びを深めるため、
17日間の訓練期間をもっと延ばしてほしい」と語りました。
ある陸自幹部は「『重機が壊(こわ)れないように整備する』という考え方自体を浸透(しんとう)させる必要がある」と話しています。
いざという時に役立てられるよう、息の長い訓練が求められます。
Q 他にどんな分野の交流があるの?
 A 陸自の中央音楽隊が、パプアの軍楽隊を15年の創設時から支援(しえん)しています。
演奏を初歩から手ほどきしたところ、軍楽隊は18年にパプアが議長国を務めたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の歓迎(かんげい)行事を
大いに盛り上げたそうです。軍楽隊は昨秋に来日し「自衛隊音楽まつり」に初めてゲスト出演しました。
 Q どうして自衛隊はこんな活動を?
 A 発展途上国(とじょうこく)の安全保障に関わる人材の育成は能力構築支援事業と呼ばれます。
各国との友好を深め、日本に望ましい安全保障環境(かんきょう)をつくるためです。
防衛省は12年度以降、東南アジアを中心に、16カ国と1機関に不発弾(ふはつだん)処理や航空救難への対応など多彩(たさい)なプログラムを提供。
今後はパプアのような太平洋島しょ国にさらに広げたい考えです。海洋進出を強める中国を意識しているようです。(東京社会部)

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◎    県戦没者追悼式 平和な社会の実現願い 4年ぶり通常開催 /茨城 - 毎日新聞(2023.8.24、毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230826/ddl/k08/040/045000c
 県戦没者追悼式が25日、水戸市のザ・ヒロサワ・シティ会館で開かれ、遺族らが戦没者の冥福を祈った。
2020~22年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で規模を縮小したが、今年は917人が参列。4年ぶりの通常開催となった。
 パプアニューギニアで父信弘さん(当時34歳)を亡くした城里町の小林孝夫さん(88)が遺族代表としてあいさつ。
ロシアによるウクライナ侵攻などに触れ「このような中、平和と自由の恩恵を享受できるのは、
御霊(みたま)の尊い犠牲によるもの。このことを子々孫々に語り継承し、
平和と希望に満ちた社会が実現しなければ、私の戦争は終わらない」と語った。

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◎    パプア、エルサレムに大使館開設へ 米などに続き5カ国目
(2023.8.28、JIJI.COM) https://www.jiji.com/jc/article?k=2023082800714&g=int
 【シドニー時事】太平洋の島国パプアニューギニアは近く、初の在イスラエル大使館をエルサレムに開設する。
ロイター通信などが28日伝えた。エルサレムに大使館を置くのは、
トランプ前政権時代に移転を決めた米国やグアテマラ、ホンジュラス、コソボに次いで5カ国目。
 マラペ首相のイスラエル訪問に合わせ、9月5日に開所式が催される。
エルサレムはパレスチナが一部領有権を主張しており、
日本を含む多くの国は商都テルアビブに大使館を置いている。

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◎    地政学的重要度増すパプアニューギニア 米国も熱視線
(2023.8.31、Wedge ONLINE) https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31255

 英エコノミスト誌(電子版)の7月30日付け解説記事
‘Why the world is suddenly wooing Papua New Guinea: Its poor,
troubled islands return to the forefront of the big powers’ strategic thinking’が、
世界は突然パプアニューギニアに接近しているとして、同国の地政学的位置などその背景を論じている。
主要点は次の通り。

・パプアニューギニアの港ポートモレスビーが、かつてなく軍事的な注目を集めている」。
日本の海自最大の艦船「いずも」や英海軍巡洋艦「タマー」が7月上旬に訪問。
またフランス海軍の「ラ・グロリューズ」も今年に入り訪問、8月には米沿岸警備艇が訪問予定だ。

・新たな地政学の時代になり、パプアニューギニアは重要性を取り戻している。
第一の理由は、地理的位置だ。同国は米の主要軍事拠点のグアムに近く、豪州への道を支配する。
第二に、これまでの金に加えて、電池に使用されるニッケルや銅、環境革命に必要な鉱物資源がある。
米仏企業の協力を得て液化天然ガス(LNG)の主要な輸出国となっている。
第三の理由は、同国が太平洋島嶼国フォーラム(PIF、18カ国の大洋州地域組織)の主要国であることだ。

・米国は5月にパプアニューギニアと安全保障協力協定に署名、2022年の中国・ソロモン諸島協定への目覚ましい反撃となった。
米国は、同国のラエやマヌス島での基地建設などを支援するとともにそれらへのアクセスを期待している。
・米の一連の対中対抗策は目覚ましい成果を達成した。
ただし、これは「北大西洋条約機構(NATO)のアジア版」のごときものではない。
紛争の際の対米支援を確約するものでもない。
それでも、今かかる努力をしておくことは将来の同盟国動員の可能性を高める。
それは中国にとり不確実性を高めるものだ。

 このエコノミスト誌の分析は穏当だ。特に米・パプアニューギニア協定締結は、
その迅速さとサプライズ性、パプアニューギニアの選択などで米国の本気度を示す。
当然ながら、22年の中国・ソロモン協定締結は米国にとってよほど衝撃的だったものと思われる。
ブリンケン国務長官がパプアニューギニアやトンガ(中国の存在が増大。5月米大使館開設)を、
オースティン国防長官がパプアニューギニアや豪州を訪問したことは良かった。
中止になったバイデンの大洋州訪問も、いずれ実現すべきだ。中国が築いている関係を一挙に直すことは難しいが、
それをイーブンにしておくことは重要である。
 なお、米国との協定にはパプアニューギニア国内に一部反対もあるようであり、
それが同国のマラペ首相のやや不明瞭な発言や米国の慎重な発言に繋がっているのかもしれない。
マラペは、われわれは全ての国の友人であり、どの国の敵でもないと言い、
「われわれは戦争ではなく平和と寛容を支持し、民主主義やキリスト教との共存も促進したい」と述べた。
オースティン国防長官は、「米国はパプアニューギニアに恒久的な基地を求めているわけではない」と説明している。

中国ににらみを利かせられる好立地
 パプアニューギニアについては、特に地理的重要性とPIFの重要国との二点が重要なように思える。
同国は米軍アセットや兵站の分散に資することができる。
更に同国は中国の南太平洋への入り口に位置しており(ラエはソロモン海に、マヌス島は太平洋に面する)、
ソロモン諸島やキリバスなどへのアクセスをにらむことも可能になる。
南シナ海やマラッカ海峡を通る中国のシーレーンからも遠くない。
完成近いと見られるカンボジアのリアム海軍基地の中国使用への牽制にもなり得るだろう。
 域内で良い動きもある。インドのモディ首相が第三回印・太平洋島嶼国協力フォーラム出席のため5月に、
インドネシアのジョコ大統領が7月上旬にパプアニューギニアを訪問(両国には西パプア問題もあり興味深い)した。
更に、次のような動きも目を引く。
7月24~28日にはフランスのマクロン仏大統領がニューカレドニア、バヌアツ、パプアニューギニア、スリランカを訪問した。
報道によればフィジー首相は、転倒事故を理由に7月下旬の訪中招請を断った。

 日本も、関係国と連携し活動を強めていくことが重要である。
林外相は今年3月ソロモン諸島、クック諸島を訪問した。
いずれ総理の大洋州訪問も実現すべきだろう。
上記の記事でも触れられている護衛艦「いずも」の寄港も有意義だった。経済協力も強化していくべきだ。

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