メルマガ・広報誌

vol.363(4月22日)

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◎  2024年度 総会のご案内
本年度の総会を次の日程で開催いたします。
詳細は追って郵送にてご案内いたします。
日時:6月27日(木曜日) 
   総会  1100から
   懇親会 1200から

皆様のご参加をお待ちいたしております。

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◎ 南太平洋の中国漁船立ち入り検査は合法、米沿岸警備隊が反論(2024.4.10、ロイター)https://jp.reuters.com/world/security/C3RKZ2VZBNIRFMOLYPNI57A5SM-2024-04-10/
[シドニー/ウェリントン 10日 ロイター] - 米沿岸警備隊のマイケル・デイ少将は10日、
南太平洋で地元警察と合同で実施した中国漁船への立ち入り検査は合法との認識を示した。
中国側の指摘に反論した。

ロイターは先月、中国漁船6隻がバヌアツ海域をパトロールする初の米沿岸警備艇に同乗した地元警察による検査を受け、
バヌアツの漁業法に違反していることが判明したと報じた。

米沿岸警備隊とキリバス警察も2月に10年ぶりの合同パトロールを行い、
中国漁船2隻を検査したが、問題は見つからなかった。

中国の王小龍駐ニュージーランド大使は5日に中国大使館が配布した書簡の中で、
米国とバヌアツ、キリバス、パプアニューギニアの間で結ばれたシップライダー(乗船)協定を利用して
「中国漁船に対する法執行活動を遂行」することは国際法違反との認識を示していた。

中国は遠洋漁業船を厳しく監督しており、いかなる違法漁業も許さない方針だとし、
沿岸国の主権を尊重していると説明していた。
デイ氏は、王大使のコメントは不正確であり、2国間のシップライダー協定は国際法に沿ったものと主張。
記者会見で「われわれは各国の排他的経済水域保護に協力するため、
ホスト国の要請に応じてこうした立ち入り検査を行っている」と語った。

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◎    米中対立で存在感高まる南太平洋の島々…日本にできることは何か?
(2024.4.11、読売オンライン)
https://www.yomiuri.co.jp/column/matsurigoto/20240409-OYT8T50036/

自分の力は強大で、貢献度も高いのに、経済力に乏しく、
国土の保全さえ危うくなっている国と同等に扱われることに不満を抱いていた超大国が、
小さな 島とう嶼しょ 国に気を使うようになったのは、
世界の安全保障環境が大きく変わってきているからだ。

 大国が抱く不満とは、国連総会では10億人を超える人々が暮らすインドや中国が投じる票も、
南太平洋の人口1万人程度のツバルやナウルのような小さな国が投じる票も、
同じ「1票」として数えられることに起因する。
 とりわけ、3億人の人口と抜きんでた経済力、軍事力を持ち、
国連加盟193か国の中では最も多くの分担金を払っている米国が、長年、
この仕組みに対してぶつぶつ言ってきた気持ちは、分からなくもない。
 その態度は、2020年代になってから大きく変わった。

・中国が海軍の拠点作り、米国も軽視姿勢変更
 中国が経済援助を通じて南太平洋地域での影響力を強め、島嶼国に対して台湾との断交を促し、
中国海軍の拠点作りを進めるようになったからだ。

 島嶼国からの距離が近い豪州やニュージーランドはもとより、
この地域に中国の足場ができて米本土との距離が縮まることを警戒する米国にとっても、
国連で「過分な1票」を持っているとしか考えていなかった南太平洋の国々の存在感と、
安全保障上の重みが急速に増した。
 日本も重要な水産資源の多くをこの地域に依存し、戦前からの縁も深く、
日米豪との安全保障上の関係も深化しているだけに、
これまでとは違った対応が求められることになる。
 ロシアによるウクライナ侵略で対立構造として浮かび上がった国際社会の
「民主主義陣営」対「権威主義陣営」の競争が南太平洋にも投影される中で、日本にできることは何か。
 2024年2月に新政権が発足したツバルの動きから、考えてみる。

・南太平洋の島嶼国14か国は「グローバル・サウス」の一部
2024年7月に、日本が1997年以来3年おきに行っている「太平洋・島サミット
(PALM=The Pacific Islands Leaders Meeting)」の第10回会合が東京で開催されるのを前に、
南太平洋の島嶼国と日本の間で、要人、政府高官の往来が盛んになっている。
 2024年2月には上川陽子外相がフィジーを訪問し、PALM10に向けて、
前回のPALM以降に達成した業績や浮上した課題を話し合う第5回中間閣僚会合に出席した。

 3月には、マーシャル諸島のヒルダ・ハイネ大統領が、言論NPOの主催する
「東京会議2024」(読売新聞社後援)に出席するため来日し、同会議で基調講演を行うなどした。
 防衛関係でも、同じ3月に木原稔防衛相の招きで南太平洋の14の島嶼国の国防相らが来日し、
米英豪など7か国政府の局長級の高官も参加した多国間会合が開かれている。

 南太平洋地域は、赤道から南にかけて豪州に近いメラネシア、赤道から北にかけて島々が分布するミクロネシア、
そして赤道から南にかけてメラネシアより以東に位置するポリネシアの3地域から成っている。

 PALMには、この3地域の島嶼国・地域などでつくる太平洋諸島フォーラム
(PIF=Pacific Islands Forum)が参加している。
 PIFを構成するのは、メラネシアのパプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジー、
バヌアツの4か国、ミクロネシアのキリバス、ミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル諸島、
ナウルの5か国、ポリネシアのサモア、トンガ、ニウエ、クック諸島、ツバルの5か国の島嶼国14か国と、
フランスの海外領土であるニューカレドニアと仏領ポリネシア、
そしてオーストラリア、ニュージーランドを加えた18か国・地域だ。
 国連でそれぞれ「1票」を持つ島嶼国14か国は、ロシアがウクライナを侵略して以降、
米国などの民主主義陣営とロシア、中国などの権威主義陣営が支持取り付けを競っている
「グローバル・サウス」の一部として考えられている。

 最も面積が大きいパプアニューギニアこそ、約46万平方キロメートルと、
日本の約37万8000平方キロメートルを上回っているものの、
最も面積の小さなナウルは一つの島から成る約21平方キロメートルの国、
次に小さなツバルは九つの島々から成る約26平方キロメートルの国で、
どちらも東京・品川区ほどの広さしかない。

 人口で見ると、最多はパプアニューギニアの約994万人(21年)で、
最少のツバルは約1万1200人(同)、ナウルで約1万2500人(同)だ。

 経済指標で見ると、ニュージーランドに通商、経済をはじめ多くの分野で依存しているニウエが、
1人あたりの国民総生産(GNP)が約1万8757米ドル(約279万円、20年)と14か国中トップで、
他の13か国のうち、1人あたりの国民総所得(GNI)が1万米ドルを超えているのはパラオ、ナウル、
クック諸島の3か国しかない。
 人口の多いパプアニューギニアの1人あたりGNIは2780米ドル(19年)で、
人口の少ないツバルは、同程度の人口のナウルの1万4230米ドル(同)の
ほぼ半分の7200米ドル(同)にとどまっている。
 一方で、島嶼国ならではの強みもある。排他的経済水域(EEZ)の広さだ。
 メラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの国々のEEZの面積の合計は、中国の陸地面積の2倍にもなる。
 海洋資源を計算に入れれば、島々の面積や人口だけで国力は測れない。

・上川外相参加の会合に代表派遣しなかったツバル
 島嶼国の潜在力が改めて認識されるようになるのと並行して、
中国の南太平洋への関与拡大が進み、経済面でも安全保障面でも、
欧米諸国にとってのPIFの存在感は高まった。

 米豪も、海外領土をこの地域に抱えるフランスも、
警戒しているのはPIFの国々の視線が中国ばかりに向くことだ。
 南太平洋の14か国はかつて、中国を国家承認していた国が8か国に対し、
台湾を国家承認していた国も6か国と、ほぼ 拮きっ抗こう していた。
 ところが、中国が各国のふ頭や道路などのインフラ(社会資本)整備に対する支援で影響力を高め、
島嶼国も中国に対する依存度を徐々に上げていった結果、
中台のどちらを国家承認するかをめぐる微妙な均衡は崩壊した。
 19年にはソロモン諸島とキリバスが台湾承認から中国承認に転じ、
24年1月にはナウルが台湾と断交、中国と国交を結んだ。
 ナウルのデイビッド・アデアン大統領は中国から国賓として招待され、
24年3月25日に北京で習近平・国家主席と会談している。
この場で習氏は、ナウルのインフラ整備で協力を進めていく考えを表明した。
 会談には、台湾を国家承認している世界の12か国に対し、
「中国と外交関係を結ぶ方が経済、社会の発展には得策だ」
というメッセージが込められていたのは、明らかだろう。
 24年4月現在、PIFのメンバーである14か国のうち、台湾との国交を維持しているのは
パラオ、マーシャル諸島、ツバルの3か国にまで減った。

 もっとも、中国を国家承認している国々が、必ずしも「親中国」であるとは限らない。
台湾へのシンパシーを持ちながらも、
中国からの経済やインフラ整備での支援をあてにしなければならない国情を踏まえて、
やむにやまれぬ選択だった場合もある。

 問題は、対中国依存を強めることで、中国が国際秩序を壊すような振る舞いをした時でも、
中国に対してものが言えなくなる状況に慣らされてしまうことだ。
その意味で、中国がオセロゲームのように台湾承認国を中国承認にひっくり返していっても、
台湾との外交関係を維持している「腹のすわった小さな国」が持つ意義は、決して小さくない。

 だからこそ、24年夏のPALM10は、
民主主義陣営の一員として米国などとともにグローバル・サウスとの関係強化を図る日本にとって、
中国が影響力を強める中でも島嶼国の自主性が発揮できるような環境を醸成していくという観点から、
かつてなく重要な意味を帯びるようになった。
 南太平洋は、戦前には旧日本軍が進出し、軍事用インフラの整備を進めた場所も多く、
もともと日本とは縁の深い地域である。
 戦後になると、政府開発援助(ODA)による支援を行ったこともあって、
日本に対して友好的な感情を持つ国が多いとされる。
 ところが、上川外相が参加した24年2月の中間閣僚会合には、
PIFのうちツバルだけが「国内事情」を理由に代表を送らなかった。
 何があったのか。

・国会議員の集結に1か月
「ニバンガ3」(外務省ホームページより)
 ツバルでは中間閣僚会合に先立つこと約2週間前、2024年1月26日に総選挙が行われた。
 定数は16で、八つの選挙区からそれぞれ2人の国会議員を選出する。
 ツバルに政党はなく、全ての候補者が無所属で、
当選後、国会議員によって首相を選ぶ手続きがとられる。
 首都フナフティは、国を構成する九つの島の一つ、フナフティ島にある。
島々に散らばった選挙区から選出された国会議員が議会に集まってくるには、
9島をめぐるフェリーを使って1か月かかるのだという。
 ちなみに、このフェリーは2015年末に日本が無償資金協力で建造し、
ツバルに供与したものだ。老朽化した前のフェリーに代わり、
九つの島をめぐる新船は「ニバンガ3」と名付けられ、活躍している。
 話を元に戻すと、1月26日の選挙を受け、
新たな顔ぶれの議会が始まったのは2月26日で、新政権もこの日に発足した。
 PALMの中間閣僚会合にツバルの代表が出席できなかったのは、
総選挙を受けての政権移行期のど真ん中に日程が設定されていたからで、
日本との関係が悪いわけでも、他の島嶼国から孤立しているわけでもない。
 今回のツバル総選挙で最も注目されたのは、台湾との外交関係を維持する立場だった
現職のカウセア・ナタノ首相が落選したことだ。
 このため、台湾のメディアでは、
ナウルに続きツバルも中国との国交樹立に切り替えるのではないかという観測が広がるなど、
動揺が走った。
 実際、当選した議員16人の中には、台湾との関係を再検討すべきだという考えや、
ナタノ政権が進めた豪州との安全保障協定をめぐり、
「豪州のやや『上から目線』の態度への反発」(地域情勢に詳しい日本政府関係者)もあって、
新政権の外交政策の行方が注目された。
 結局、ツバルの 舵かじ 取りを任された元検事総長のフェレティ・テオ新首相は、
台湾との外交関係および豪州との安全保障協定を維持する立場を明確にし、
台湾メディアの懸念は杞 憂ゆう に終わった。
 ツバルの新政権発足を受け、ツバルを管轄する道井緑一郎・駐フィジー大使が24年3月、
テオ首相や新閣僚との意見交換のためにツバルを訪れた。
 この時、道井大使は、「日本のODAの果たしてきた役割の重要性」を再認識したのだという。

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◎    パプアニューギニア独立国西部における洪水・地滑り被害に対する緊急援助(2024.4.12、外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00602.html
4月12日、我が国政府は、パプアニューギニア西部における洪水・地滑り被害に対し、
同国政府からの要請を受け、国際協力機構(JICA)を通じ、
緊急援助物資(テント、毛布等)を供与することを決定しました。
 我が国としては、人道的観点及びパプアニューギニアとの友好関係に鑑み、
災害の影響を受けた人々を支援すべく、緊急援助を行うこととしたものです。
(参考)被害概要
 パプアニューギニアでは、3月に入ってから続く大雨により、洪水や地滑りが発生し、
同国政府によると、ガルフ州、ジワカ州、チンブ州、エンガ州、セントラル州、西ハイランド州、
東ハイランド州の7州で約9万人の被災者が出ている(4月10日時点)。

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◎    パプアニューギニア独立国西部における洪水・地滑り被害に対する緊急援助ー物資供与の引渡しー
(2024.4.15,JICAパプアニューギニア事務所)
https://www.jica.go.jp/information/jdrt/2024/1536017_52764.html
パプアニューギニア独立国(以下「パプアニューギニア」とする)において発生した洪水・地滑り被害に対して、
国際協力機構(JICA)が供与した緊急援助物資が同国に引き渡されました。
 パプアニューギニアに対し供与する緊急援助物資は4月14日に首都ポートモレスビーへ到着し、
同日16時30分(現地時間)よりジャクソン国際空港にて、パプアニューギニア側からラセ・マナ国家災害センター所長が、
日本側から渡邊信之駐パプアニューギニア日本国大使、松岡秀明JICAパプアニューギニア事務所長らが出席し、
同物資の引渡式を実施しました。
 引渡式では、マナ国家災害センター所長より、日本の支援に対する深い感謝の意が示されるとともに、
これは単なる物資供与ではなく日本とパプアニューギニアの人々の友情の証である旨が述べられたのに対し、
渡邊大使より今回の被害者に対するお見舞の言葉と被害からの復興が一刻も早く進むことを希望する旨発言がありました。
 なお、今回供与した援助物資は、パプアニューギニア政府により被災地に届けられます。



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◎    パプアニューギニア独立国における自然災害被害に対する国際緊急援助‐供与物資の引き渡し
(第二陣の到着)(2024.4.16、JICAパプアニューギニア事務所)
https://www.jica.go.jp/overseas/png/information/press/2024/1536113_52907.html
3月下旬にパプアニューギニア国西部において発生した洪水・土砂災害被害に対して、
国際協力機構(JICA)が供与した緊急援助物資(第二陣)が4月16日(火)同国に引き渡されました。
 同国に対し供与する緊急援助物資は、4月14日(日)に首都ポートモレスビーへ到着し、
今回第二陣が4月16日(火)に到着いたしました。
第一陣が到着した14日(日)には、ジャクソン国際空港にて、パプアニューギニア側から
ラセ・マナ国家災害センター所長が、日本側から渡邊信之駐パプアニューギニア日本国特命全権大使、
松岡秀明JICAパプアニューギニア事務所長らが出席し、同物資の引渡式を実施しました。
なお、今回供与した援助物資は、パプアニューギニア政府により被災地に届けられる予定です。

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◎    生き抜く 父母の無念 今も胸に 戦没者眠る島で遺骨収集
(2024.4.16、山陰中央新報) https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/560030
うっそうとしたジャングルだった。太平洋戦争中に東部ニューギニア
(現在のパプアニューギニア)で父を亡くした森本浩吉(82)は、戦没者の遺骨を探していた。
巨木の下から見つかった全身の骨。折り重なっていたのか、次々と。
 2003年、初めて遺骨収集に参加した。冷たい土から丁寧に拾い上げる。
「父だろうか。父とすれ違った方だろうか」。そんなことを考えた。
 戦死公報
森本は1941年、今の韓国・ソウルで生まれた。1歳1カ月の時、父の利雄が南方へ出征した。
「浩吉は大きく成長したことだろうね」。家族を思いやるはがきが3通、戦地から届いた。
 45年8月に終戦。母のハツは、森本とその妹を連れて父の本籍地、津市に引き揚げた。
森本が持たされた人形にいくばくかのお金を隠していたが、引き揚げ船でいつの間にか奪われてしまった。
 翌46年6月に戦死公報が届いた。衛生兵だった父は44年12月に亡くなっていたのだ。
森本は当時を覚えていない。だが「信じて帰りを待っていた母は、幼子2人を抱えてどんな思いだったろうか。
死ぬことも考えたかもしれない」と想像する。
 母の弟のいる長崎県に転居し、母は町役場で働き始めた。
6畳と3畳の2間の引き揚げ者住宅で暮らした。
風呂はなく、近所に借りに行く。2玉のうどんを3人で分けた日もあった。
 ミカン箱で作った父の仏壇に向かい「今日も一日過ごせました」と朝晩、家族で報告する。
母は必死で働きながら、身なりだけはきちんとしなさいと、靴についた汚れを歯磨き粉で落としてくれた。
「父親のいない家庭の子だからと他人に言われないように」が口癖だった。
「父は国のため、家族のために亡くなった。誇りを持っていた」 森本は高卒で就職。
いち早く自立しなければという思いがあった。

 慰霊巡拝
工場勤務や出向、単身赴任も経験した。
定年が迫った頃、住んでいる神奈川県の広報紙でパプアニューギニアへ慰霊巡拝に行けると知る。
父の眠る旧戦地だ。
 2001年、59歳で初めて現地へ。
飛行機から降り「おやじ、来たよ。浩吉です」とつぶやく。
父が亡くなったとされるボイキン地区にまで足を延ばした。
 現地の石を持ち帰り、横浜市の病院に入院していた母に握らせ、ボイキンの写真も見せた。
母は「うん、うん」とうなずき、泣いた。同年7月、88歳で母は逝った。
「本当は、大好きだった父が亡くなった場所に行きたかっただろうに」。
2年後、再びボイキン訪問の機会があると知る。今度は遺骨収集のためだ。

 通算40回
 それまでずっと父の遺骨は戻らず、形見は自分ら遺児だと思っていた。
だから初めての遺骨収集に、出征前の父が森本を抱く写真を持参した。
 2班に分かれ、森本は野戦病院跡とされる現場へ。
毎日、倒木をくぐり、川を渡って通った。「父はこの道を歩いたかな。
この川の水を飲んだかな」。父と共に歩いているような錯覚を覚えた。
 ある時、収集に協力してくれる現地の住民に「森本を知っているか」と尋ねた。
すると高齢の男性が「シッテル、シッテル、ドクター!」と答えた。
適当に合わせているだけかもしれない。でも父は衛生兵だ。
「優しい父のことだ。常に衛生兵のかばんを持ち、村の人に赤チンを塗ってあげていたのかな」。
そう考えると涙がこぼれた。この辺りで生きていたことを確かめられた気がした。
 この収集派遣では123柱の遺骨を日本に持ち帰った。
誰の遺骨か分からないまま、遺骨箱の一つを抱きしめた。
 遺骨収集事業の人手が足りないと相談され、多い時で2~3カ月に1度、訪れるようになった。
妻(80)には「また行くの?」と言われるが、使命感がある。

 長男の貴彦(56)は森本の熱心さに驚いた。「そんなに思い入れがあったんだ…」。
仕事一筋だった現役時代の姿からは想像できない。
 壁にぶつかることも多い。地権者同士の争いで収集が止まる。
遺骨がどこにあるかという情報が減っていく。
2019年にはロシアなどで収拾した遺骨の取り違え問題が発覚し、日本に持ち帰れる遺骨の基準が厳格化した。
そして新型コロナウイルス禍で約2年間、派遣が止まった。

 「可能な限り現地に行き、骨を探したい」。
そう願うが、体力の限界も迫る。23年10月、慰霊巡拝でボイキンを再訪問。
パプアニューギニアには通算40回通ったが、初めてつえを持参した。
 父だと分かる遺骨はまだ見つからない。
「この先、100年続く事業ではないと思う。遺骨収集が終わっても、
戦争で亡くなった人がいたこと、自分のような遺児がいたことは忘れてほしくない」
(敬称略、文・中川玲奈、写真・今里彰利)

 もっと知るために 7万6千柱残る悲惨な戦場
 日中戦争以降の戦没者は約310万人。
中でも東部ニューギニア(現パプアニューギニア)は
「生きて帰れぬ」「死んでも帰れぬ」などと言われた悲惨な戦場だった。
政府は1952年度から、国内外の戦没者の遺骨収集事業を始めた。
 パプアニューギニアでの収集を主に担う「東部ニューギニア戦友・遺族会」の
平山一美(81)は当時の戦闘や行軍の状況から、
旧日本軍の将兵は敵に見つかりにくい密林や湿地を徒歩で何百キロも移動しており
「どこをどのように行動したか定かではない」と語る。
現地の伝聞情報を頼りに収集に当たるが、戦時にあった集落が移転していたり高齢化が進んでいたりと、
困難な状況が続く。
 厚生労働省によると2024年2月末現在、パプアニューギニアに約7万6千柱が残されている。
 感想募集
 この記事へのご意見やご感想を共同通信編集委員室「生き抜く」係までお寄せください。
ファクスは03(6252)8741、電子メールはikinuku@kyodonews.jpです。

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◎    ソロモン諸島で総選挙、中国寄り政策の是非争点(2024.4.17、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM155OT0V10C24A4000000/
【シドニー=今橋瑠璃華】太平洋島しょ国のソロモン諸島で5年ぶりの総選挙が実施され、
17日に投票日を迎えた。18日に開票作業が始まり数日から1週間程度で結果が判明する。
選出された国会議員が数週間後に新首相を指名する。
中国寄りの路線をとるソガバレ首相の再選が焦点で、米国やオーストラリアも注目している。
一院制議会の50議席を改選する。小選挙区制で300人超が出馬した。
当初は23年を予定していたが、4年に1度の地域のスポーツの祭典「パシフィックゲームズ」を開催するため延期となっていた。
ソロモンは少数政党が乱立し無所属の議員も多い。
19年の総選挙では当選した50人中21人が無所属だった。
有力者の基盤固めのため、選挙後に多数派工作が繰り広げられる。
2019年に就任したソガバレ氏はこれまで、時期を空けて4期にわたり首相を務めた。
再び指名されれば、同国で初めて2期連続で務める首相となる。
19年に36年間続いた台湾との外交関係を断ち、中国と国交を樹立した。
中国などとの関係強化を図る「ルックノース」外交や「援助から貿易へ」の転換を掲げてきた。
親中路線によって民主主義が損なわれたり、汚職がまん延したりするとの警戒が広がり、
19年と21年に反政府デモが発生し暴動に発展した。治安悪化を受け、
中国と22年に安全保障協定、23年には警察協力協定を締結した。
中国はパシフィックゲームズのスタジアム建設費用も援助した。

ソガバレ氏の対中接近の背景には、豪州や西側諸国への不信がある。
06年に犯罪の容疑をかけられた豪州人がパプアニューギニアからソロモンに密入国した事件で、
豪州当局が当時首相だったソガバレ氏の不在中に家宅捜索をしたためとされる。
親中派議員の働きかけもあった。
中国側からインフラ投資などをもちかけられた議員がソガバレ氏に中国との国交樹立を迫ったとの見方がある。
野党のマシュー・ウェイル氏やピーター・ケニロア・ジュニア氏は親中路線の修正を訴えている。

米豪は安保で中国が接近することを警戒する。
米インド太平洋軍のアキリーノ司令官は9日にシドニーで「ソロモン諸島で駐留する中国警察官の増加を懸念する。
最終的には軍事への関与を確保する狙いがある」と記者団に語った。

ソロモンに関する著作で知られる政策アナリストのエドワード・カバノー氏は
「中国との国交樹立は市井の人々の利益につながっていない」と指摘する。
依然として道路や電力供給などのインフラは脆弱で、国民は医薬品不足に直面する。
中国税関総署によると、両国間の貿易総額は23年に約5億3600万ドルと19年比4%減少した。
アジア開発銀行(ADB)によると、ソロモンの23年の国内総生産(GDP)成長率は2.5%で、2
4年と25年は2.2%に減速する見通しだ。
17日には州の代表者を決める投票もあった。
最も人口が多く親台湾感情が根強い東部マライタ州では、
中国批判の先鋒として知られるスイダニ前州首相が出馬した。

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Innovation hubs in Bougainville opened to boost creativity (2024.4.19、The National)
https://www.thenational.com.pg/innovation-hubs-in-bougainville-opened-to-boost-creativity/
Japanese Ambassador Nobuyuki Watanabe highlighted Japan's
long-standing commitment to the development of Bougainville. “This project is a ...

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◎    バイデン米大統領、また記憶違い 「おじが食人の犠牲」(2024.4.19、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN18EMB0Y4A410C2000000/
【ワシントン=共同】バイデン米大統領(81)は17日、
第2次大戦でおじが搭乗した軍用機が「ニューギニア島で撃墜され、遺体は発見されなかった。
ニューギニアには人食い部族がたくさんいたからだ」と述べ、食人の犠牲になったとの見方を示した。
だが米軍の公式記録は機体が島近くの海上に墜落したとしており、人食い部族への言及もなかった。
バイデン氏の記憶違いだとみられる。
故郷の東部ペンシルベニア州スクラントンで戦没者慰霊碑を訪れた後、近くの空港で記者団に語った。
バイデン氏は史上最高齢の米大統領で、思い違いや言い間違えが多く、記憶力の衰えが指摘されている。
11月の大統領選で対決するトランプ前大統領(77)が攻撃材料にしそうだ。
米軍の記録は、バイデン氏のおじのアンブローズ・フィネガン氏ら3人が乗った機体が
1944年5月にニューギニア島近くの島を飛び立った後「低空でエンジンが故障し、
機首が海面に激しく衝突した」としていた。
乗員1人は救助されたが、フィネガン氏らは行方不明のままで機体も見つからなかった。
ジャンピエール大統領報道官は18日、フィネガン氏の最期を記した米軍の記録が正しかったとの見方を示し、
バイデン氏は慰霊碑を訪問した直後で「非常に感情が高ぶっていた」と弁明した。

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◎    中国外相、AUKUS批判 南太平洋パプアを訪問(2024.4.20、東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/322557?rct=world
【シドニー共同】中国の王毅外相は20日、訪問先の南太平洋パプアニューギニアで、
米英豪の安全保障枠組みAUKUS(オーカス)について「太平洋島しょ国はいかなる大国の裏庭でもない。
米国はこの地域に原子力潜水艦開発を引き入れ重大な核拡散リスクを引き起こしている」と批判した。
 トカチェンコ外相との会談後の記者会見で語った内容として中国外務省が発表した。
オーストラリアと伝統的に関係の深いパプアにAUKUSに協力しないよう働きかけた形だ。
 この日の会談で双方は、中国がパプアに打診している警察訓練などを含む治安協力について議論したとみられる。
 こうした中国の動向にオーストラリアは警戒を強めている。

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◎    中国外相、パプア訪問 治安協力議論か(2024.4.20、産経)
https://www.sankei.com/article/20240421-KR6YLXKQ2BIURDTGBSST2QCNGY/
中国の王毅外相が20日、南太平洋パプアニューギニアの首都ポートモレスビーを訪問し、
トカチェンコ外相と会談した。中国がパプアに打診している警察訓練などを含む
治安協力について議論したとみられる。
パプアと伝統的に関係が深いオーストラリアは、中国の動向に警戒を強めている。
米国は昨年5月、パプアの基地利用を含む防衛協定を結んだ。
パプアは政情が安定しておらず、部族間の衝突や暴力事件がたびたび発生。
今年1月には略奪や放火などの暴動が起き、死者が出た。(共同)

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◎    中国外相がパプア訪問 対米接近をけん制(2024.4.21、時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024042100356&g=int
 【シドニー時事】中国の王毅共産党政治局員兼外相が20、21両日、
太平洋の島国パプアニューギニアを訪問した。
マラペ首相、トカチェンコ外相と会談し、経済関係を強化していくことを確認した。
パプアは昨年5月、米国と防衛協力協定を締結しており、
王氏の訪問には米パプア両国の接近をけん制する狙いがあるとみられる。
 王氏は21日のマラペ氏との会談で、
「自由貿易協定(FTA)交渉を加速させ、経済、貿易、エネルギー、金融、インフラ整備などで協力を強化したい」と表明。

マラペ氏は「中国と互恵協力を深化させたい」と応じた。
 また、王氏は20日、外相会談後の記者会見で「島しょ国は大国の裏庭ではない」と述べ、
米国の地域への関与をけん制。
米英オーストラリアの安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に関しても
「陣営間の対立を生み出そうとする試み」などと強く非難した。
 中国は2022年にソロモン諸島と安保協定を締結。
中国自身が島しょ国を裏庭化する動きとして西側諸国は懸念を強めている。

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◎    中国・王毅外相がパプア訪問 経済で接近、米豪にくさび(2024.4.21、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM194OZ0Z10C24A4000000/
【シドニー=今橋瑠璃華、北京=田島如生】中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相は
20、21の両日、パプアニューギニアを訪れた。トカチェンコ外相やマラペ首相と会談し、
経済連携を強化すると確認した。
米国やオーストラリアと安全保障で協力を深めるパプアに経済で接近をはかる。
トカチェンコ氏と20日に会談した王氏は声明で「自由貿易協定(FTA)交渉を早期に開始し、
貿易や投資、インフラなどの分野で協力を強める」と明らかにした。
新たに警察や防災などの分野で関係を深めたい意向も示した。21日にはマラペ氏と会談した。
トカチェンコ氏は会談後に「中国は地政学的な利己的利益を追い求めずにパプアの発展を支援している」と表明した。
中国とパプアの貿易は急拡大している。
中国税関総署によると、2023年の両国間の貿易総額は48億ドル(約7400億円)と6年前と比べ1.7倍になった。

パプアにとって中国は3番目の輸出相手国だ。原油や金などの資源に加え、
農産品輸出を増やすことに注力している。中国にはパプアが必要とする経済で距離を縮め、
いずれは安保へ協力を広げたいという思惑があるとみられる。

王氏は22年5月に太平洋島しょ7カ国を訪れ、
国交のある10カ国に対して地域を包括する安保協力の枠組み作りを提案した経緯がある。
この時は反対に遭って断念した。

ロイター通信は今年1月、中国が23年にパプアに安保協力を持ちかけていたと報じた。
トカチェンコ氏は2月、日本経済新聞の取材に「現時点で中国と安保協力を結ぶことは全く考えていない」と答え、
中国との協力は経済関係にとどめるとの認識を示した。

太平洋の覇権に挑む中国はパプアを戦略的な要衝とみなす。
日本の小笠原諸島や米領グアムを結ぶ「第2列島線」の南端に位置している。
22年にはパプアの東に位置するソロモン諸島と安保協定を結んだ。

中国の動きを警戒する米国は23年5月にパプアとの間で、米軍が港や空港を使用できるようにする防衛協力協定を締結した。
同年12月には豪州もパプアと安保協定を結んだ。

トカチェンコ氏と会談した後に記者会見した王氏は、米豪と英国が拡大をめざす安保枠組み「AUKUS(オーカス)」を批判した。
「より多くの国をブロック対立をあおる枠組みに参加させようとしている。
島しょ国のニーズと矛盾している」と語った。

パプアは1月に国内で税制改革を巡る騒動が暴動に発展し、マラペ政権が緊急事態宣言を発令した。
政権には中国がもたらす経済的な恩恵を成果にしたい考えもある。
オーストラリア国立大学のマイケル・カブニ博士候補生は「太平洋島しょ国の経済発展ニーズは長期に及び、
パプアは輸出市場の確保を重視する。中国は安保協力を広げる望みを持ち続けるだろう」と話す。

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◎    JICA scholarship recipients present report (2024.4.21, Loop PNG)
https://www.looppng.com/png-news/jica-scholarship-recipients-present-report-125674
This year marks 50 years of Japan's official development assistance to Papua New Guinea.
JICA PNG Chief Representative, Matsuoka Hideaki said, “When ...

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◎    令和3年度草の根・人間の安全保障無償資金協力
「デボイスメヌ・プライマリー学校整備計画」(引渡式の実施)について
(2024.4.11、在PNG日本国大使館)

https://www.png.emb-japan.go.jp/itpr_ja/b_000308.html
 2024年4月11日、渡邊大使はセントラル州のデボイスメヌ・プライマリー学校において、
我が国の支援により建設された校舎1棟(4教室、2授業準備室)
(支援額約291,000キナ)の引渡式に出席しました。

 引渡式において、渡邊大使は「事業完了に向けた関係者の努力に感謝申し上げる。
教育は、知識や技術を身につけるための手段であるだけでなく、重要な将来の発展のための投資でもある。
このプロジェクトが、日本とPNGの人々の友好を深め、
両国のパートナーシップの醸成に寄与することを心から願っている。」と述べました。

 これに対して、来賓のヘンリー・マイノ・セントラル州教育委員会から「本プロジェクトの完了を嬉しく思う。
また、学校関係者が率先して日本への支援を要請したことにも感謝する。
日本へのこれまでの支援に対する感謝を表すとともに、これを機会に、
パプアニューギニアセントラル州の人々に対する日本政府の継続的な支援をお願いしたい。」と述べました。

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