メルマガ・広報誌

vol.30 (08月22日)

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◎ 「妖怪の島」は「宝の島」に化けるか パプアニューギニア  
(日本経済新聞、2014/8/17 )

ぬりかべ、油すまし、目玉おやじ......。
「ゲゲゲの鬼太郎」など漫画家の水木しげる氏の作品に登場する個性的な妖怪
たちの起源は、この島にあるに違いない。
パプアニューギニアの新旧の紙幣を見れば、誰もがそう感じるだろう。
そこに描かれている図柄には、800以上ともいわれる部族の民族衣装の数々が
描かれている。
それは日本の着物やインドのサリーなどに相当する伝統的な衣類と呼べるような
代物ではない。異様な形相の仮面あり、巨大なカツラあり、着ぐるみにも似た
異形の装束あり。
おそらく世界で最も想像力に富み、最も奇っ怪ないでたちをした人間たちの姿が、
この島の部族社会に凝縮されている。
 パプアニューギニア東部のニューブリテン島ラバウルに、旧日本軍は最重要の
拠点をおいた。
圧倒的に物量で勝る連合国軍を前に出された玉砕命令の下で、水木氏は壮絶な
ゲリラ戦とマラリアとの戦いを、1人くぐり抜けて、奇跡的に生き残った。
機銃掃射で負傷した左腕は、軍医に麻酔なしで切断されて失った。
その半死半生の水木氏を、現地の人々は果物を差し入れるなどして、親切に
扱ってくれたという。なんとか生き延びることができたのは、片腕の水木氏が
なぜか部族の人々に好かれたからだ。
とりわけ世話になったのは、先端がとがった仮面をかぶり、蓑(みの)のような
コミカルな衣装に全身を包んだトライ族だったそうだ。
その姿は、どこか「子泣きじじい」にも似ている。
夢とも現実ともつかぬ霊的な交流体験を通して、水木氏は後年に描く妖怪たちの
モチーフを、自分の身体と精神の中に蓄積していったのではないか。

 現代のパプアニューギニア社会も、その本質は変わっていない。
「WANTOK(ワントク)」と呼ばれる部族ごとの結束の中で、自給自足的な
生活を営む人々が今でも多い。ワントクの語源は英語の「One Talk」。
つまり同じ言葉を話す同胞という意味だ。
数百種類の異なる言語がひしめくパプアニューギニアの部族社会では、同じ言葉を使い、
同じ部族の出身であることに基づく帰属意識と、部族内の平等意識が強い。
ワントクの内部にいる限り、血縁がなくても助け合い、衣食住から教育、
生活の安全までが確保される。
しかし、時にはワントク内の掟(おきて)に従わない裏切り者への制裁や、
部族間の対立が表面化し、暴力を伴う闘争事件が起きるなど、負の側面も根強く
残っている。
契約に基づく先進国のビジネスの論理は、そのままでは通用しない。
治安もよくない。商習慣も労働倫理も異なる。
いまだに一筋縄ではいかない難しい国なのだ。

 この土地に深い太平洋戦争の爪痕を残した日本にとって、パプアニューギニアは
強烈な「遺恨」や「罪悪感」が染み込んだ国でもある。できれば触りたくない国で
あったかもしれない。
日本軍がこの地域に送り込んだ兵士数は約16万人。
そのほとんどが戦死した。戦闘で亡くなったのではなく、8割以上が餓死と病死だった
といわれる。豊かな自然の中で、自給自足で幸福に暮らしていた現地の人々を戦争に巻き込み、
数多くの命が奪われる悲惨な歴史を生み出してしまったという現実から、
私たち日本人は目をそらすことはできない。

 「餓島」とも呼ばれたガダルカナル島(現ソロモン諸島)や、ニューブリテン島、
ニューギニア島について、多くの日本人は積極的に語ろうとしてこなかった。
生存者が少なかったこともあるが、水木しげるさんは稀有(けう)な例ではないだろうか。

 隣国のインドネシアやオーストラリアの存在は、
日本人ならば誰でも常に意識の中にある。
マレーシアやシンガポールに対する親近感も、ここ10年ほどの間にグンと高まった。
アジア太平洋の時代といわれ、自由貿易圏を築く環太平洋経済連携協定(TPP)が
脚光を浴び、周囲の東南アジア諸国連合(ASEAN)やオセアニアの国々の名が
新聞紙上をにぎわすようになった。

 だが、この地域のど真ん中にあるパプアニューギニアだけは、
ぽっかりあいた空白地帯のように
忘れられた存在だったといえるだろう。
その理由は、開発や近代化の遅れだけでなく、
過去の暗い歴史が日本人の意識に影を落としているのではないか。
日本企業が遠慮なく大手を振って進出し、伸び伸びと市場を開拓する国ではなかったのだ。
そうするには、あまりにも重すぎる過去が、この土地には残っている。

 18日放送の「未来世紀ジパング」の中でその物語が明らかにされるが、
意識の上で遠い存在になったパプアニューギニアと日本をつなぎ続けた、
数少ない日本人たちの姿がある。
暗い過去があり、重い事実を背負っているからこそ、自らの身を捧げてパプアニューギニアと
日本の絆を紡いできた人々である。
これまで両国のパイプは決して太いとはいえなかった。
だが、2つの国は細いけれども強い糸で結ばれていた。
その努力が花開き、実を結ぶときが、終戦から約70年を経て、ようやく訪れたように
思えてならない。

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◎ リオ・ティント、パプアニューギニア銅資産の選択肢を検討 

 【シドニー】英豪系鉱業大手リオ・ティント(RIO)は過半数株を握る
パプアニューギニアの銅生産会社ブーゲンビル・コッパー(BOC.AU)について、
今後の選択肢を検討していることを明らかにした。
現地の規制変更で、操業を停止している鉱山の借地権を取り上げられる可能性が
浮上したため。

 リオは18日の発表文で「ブーゲンビル自治州が今月通過させた鉱業に関する新法など、
パプアニューギニアでの最近の動向を踏まえ、ブーゲンビル・コッパーの54%株について
あらゆる選択肢を検討すべき時期が来たと判断した」と述べた。 
ブーゲンビル・コッパーの19%はパプアニューギニア政府が握る。
リオ・ティントのウェブサイトの情報によれば、同社は1972?89年にパングナ鉱山で
銅のほか金、銀を生産していたが、戦闘が発生したことで操業を停止した。

 今回の発表文によると、ブーゲンビル・コッパーは
「パングナの将来的な生産再開に参画するかどうか」、パプアニューギニア政府や
ブーゲンビル自治州政府、地主らと「しばらく」協議を続けてきた。
 
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◎ 松本盛雄 新駐パプアニューギニア、ソロモン日本大使
壮行会開催のご報告

8月18日(月)11:30より「霞山会館 ピオニーレストラン」において
協会会員27名により松本大使の壮行会を行いました。8月8日に行われました
「安倍総理のPNG訪問の概要と成果を考える会」開催時に本壮行会の開催が
急遽決定され、PNGへの本邦進出企業、日本遺族会、戦友会、協会役員
など限られた方のご出席で、朗らかな会となり、また大いに意見交換がなされました。
詳細は次号「ごくらくちょう」にてご案内いたします。

尚、松本新大使は8月24日に現地ポートモレスビーに御着任されます。

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◎ 第5回TOKTOK会 開催のご報告 

『美しい海と発展が共存する首都、ポートモレスビーでの10年間と、PNGの海の魅力』

講師:中浦恵子さん

8月20日(水) 18:30ー から予定通り新橋航空会館で開催されました。
出席者数37名で、開発が進むポートモレスビーの様子やPNG、ポートもレスビー
の海の魅力についてお話を頂きました。 
その後、場所を変えて懇親会を開催し、大いにPNGの話題で盛り上がりました。

詳細は次号「ごくらくちょう」にてご案内いたします。

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■ 編 集 後 記 ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥......

この7月8月と事務局は協会始まって以来の忙しさを経験致しました。
総理のご訪問にご同行させていただきましたこと、また2回のTOKTOK会の開催
「安倍総理のPNG訪問の概要と成果を考える会」、松本新大使の壮行会の開催、
ごくらくちょうの発行に事務所移転の登記など。 
皆さまからのお問い合わせやご質問などに対応しきれない事が多々あったと思います。 
この場をかりてお詫び申し上げます。
しかし、事務局が忙しいということは、協会の活動が益々活発になっているという
ことです。先の理事会総会で決定されました役員による委員会制の導入などは
益々協会の活動が活性化すると思います。
会員の皆さまも協会行事に積極的にご参加ください。

こちらのメルマガでご案内しております行事などの申し込みなどは協会HPで
ご確認いただけます。 メルマガ、ごくらくちょうのバックナンバーもご覧
いただけますので、ご活用ください。

また、「安倍総理のPNG訪問の概要と成果を考える会」の開催報告は次の
協会HPよりダウンロード頂けます。
http://www.jpng.or.jp/archives/2014/08/post_31.html


皆さまのご意見、ご要望などどんどんお寄せください。
 

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