メルマガ・広報誌

vol.170(11月12日)

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◎ 第13回TOKTOK会開催のお知らせ

講師:元 在パプアニューギニア日本大使館 
   戦後処理関連及び広報文化ご担当

   嶋野 進氏 

題目:「PNGの現地事情」遺骨収集及び軍楽隊支援の現状と課題について

日時:11月28日(水)
   受付開始:1800
   講演開始:1830
   懇親会: 1945-(2130終了予定)

場所:東京 虎ノ門 霞山会館 ピオニーレストラン
   https://kazankk.org/access/access.html

会費:3,000円(会員)懇親会費含む
   6,000円(非会員) 尚、当日会員登録した方は、会員価格でご参加いただけます。

尚、会場の都合により、参加者数に制限がございます。申し込み順とさせていただきますので、
ご容赦頂きますようお願いいたします。

お申込みはお電話、EMAIL等で事務局まで
(事務局詳細は最下部にございます)

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◎ パプアニューギニアへの渡航を予定されている皆様へ(2018.11.1、外務省)
https://www.png.emb-japan.go.jp/itpr_ja/b_000110.html
パプアニューギニアでは今年11月17日~18日に予定されているAPEC首脳会議等に向けた
国境管理強化の一環として、一般旅券所持者に対する空港における到着ビザが
10月30日から11月30日まで停止されています。
なお、到着ビザ発給は12月1日から再開される見込みです。
 この期間にパプアニューギニアへの渡航を予定されている皆様におかれては、
必ず事前に査証を取得してから渡航されるようお願いいたします。

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◎ 豪エネ2強、LNG増産 ウッドサイドとサントス、世界の供給不足にらむ  
(2018.10.26、日経) https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36934050V21C18A0FFE000/

オーストラリアのエネルギー大手が液化天然ガス(LNG)分野で存在感を高めている。
最大手ウッドサイド・ペトロリアムは米メジャーから大型鉱区の権益を買い取り
2018年の生産量も最大15%増やす。サントスは20年代半ばに6割増産を見込む。
いずれも中国での需要急増に対応する。豪州はLNGの国別輸出量で世界2位。
両社が投資・開発を急ぐことで、首位のカタールを猛追する。

「生産が前倒しで進み収益を押し上げた」。
18日、7~9月期決算を発表したウッドサイドのピーター・コールマン最高経営責任者(CEO)は
北西部のプロジェクト「ウィートストーン」の設備増が増産に寄与したことを挙げ、
LNG事業が順調だと強調した。

20年代6割増産同社は現在、豪州で3つのLNGプロジェクトに参画する。

17年12月期は約39億ドル(約4370億円)の売上高の7割弱がLNG事業で、
18年12月期はLNG生産を最大で前期比15%増の約790万トンと見込む。

18年3月には豪北西部の大型ガス鉱区「スカボロー」の権益50%を
エクソンモービルから取得し75%まで拡大した。

地元報道では取得額は4億4千万ドル。20年までの最終投資決定をめざす。

「25年までに1億バレル(原油換算)以上の生産を目指す」と話すのは
豪エネ2強の一角、サントスのケビン・ギャラハーCEOだ。
17年12月期の売上高約32億ドルの7割が天然ガスによるものだ。

同社も投資に積極的。
18年9月下旬にガス・石油の生産量を現在の約2倍近くに引き上げる目標を発表した。
特に北部準州やパプアニューギニアでは22~23年の生産開始を視野に
急ピッチで開発と増産を進めている。

サントスの17年のLNG生産量は約310万トンで、今後北部準州沖で生産が始まれば、
20年代半ばには最大で490万トンに達すると見積もる。

両社が巨額を投じるのは20年代前半に世界的に供給が不足するとみるためだ。
英調査会社ウッドマッケンジーによると、23年の世界のLNGの需要は4億トンを超え、
以降、30年まで供給を上回る。

カタールを猛追
コールマン氏は6月、「(今の)供給過剰は続かないと考え計画を進めてきた。
良いタイミングで建設に入れる」とアピールした。
両社の積極投資もあり、豪州の輸出量は急増。
国際LNG輸入者協会によると、17年に前年比24%増の5556万トンとなり、
微減だった首位のカタール(7750万トン)を追っている。
ウッドサイドは、1954年に石油探査を目的に創業。70年代に豪北西部沖でガスを発見し、
80年代に国内向け供給を始めた。
89年には同国初のLNGプロジェクト「ノースウェストシェルフ」の操業主体となり、
三井物産、三菱商事などと組み豪州から日本向けにLNGを輸出した。
サントスも54年の創業。ウッドサイドと同様、
石油探査から始めたサントスは2006年にLNG事業に参入した。
ウッドサイド、サントスともに欧米メジャーに比べると売上高は10分の1以下だ。
ただ「地元勢は多方面の事業バランスを考えるメジャーよりLNGに集中できる」
(S&Pグローバル・レーティングスのミン・ホアン氏)強みがある。
長年にわたりメジャーと手を組み、自社が操業主体となって開発したガス田もあるため、
専門家は「メジャーと同程度の技術力を持つ」と評価する。
もっとも豪州で新規開発が相次いだ10年代前半は人件費上昇でコスト高になったため、
地理的に近く日本や中国など大きな市場があるアジア太平洋地域にも目を向けた。
サントスのパプア事業だけでなく、ウッドサイドも16年、
ミャンマー沖でガス資源を発見。操業に向けた調査を進める。

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◎ Fire Service Receives Five Trucks From Japan (2018.11.2 , Post-Courier )
https://postcourier.com.pg/fire-service-receives-fire-trucks-japan/
SIX reconditioned trucks from Japan have been presented to the PNG Fire Services.

The trucks from Japan consist of one pumper with tank with a water capacity of 3000L,
 1 chemical pumper with a water capacity of 1300L and foam capacity of 12000L,
1 rescue truck and 3 pumpers.

The trucks were brought in on a cost of K276, 613 provided by the Embassy of Japan
and K6, 492 from the PNG Fire Service.

Presenting the trucks was Deputy Chief of Mission to PNG Hiroshi Nawata.
Mr Nawata said that the trucks were compact,
 which allowed for parking to be done anywhere and the trucks could maneuver
through busy city roads and crowded streets to reach the scene of a fire.

"I believe that this project has been proposed in a timely fashion
as the impending APEC meeting has prompted the PNG Fire Service t
o scrutinize its capacity.
"I commend the PNG government for its continuous support to the Fire Service
especially with an interjection of K18 million during the 2018 Budget,
the Government of PNG is pleased with the support of the PNG Government's efforts
to improve the capacity of the PNG Fire Service through the provision of these six trucks.
"I would like to thank the Government of Australia in partnering with the Government of Japan
 in this endeavour," Mr Nawata said.

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◎ 豪、米軍建設の南太平洋基地増強へ 中国の存在感を意識 
(2018.11.3、The Wall Street Journal)
https://jp.wsj.com/articles/SB12084115756306144134604584568353537877642

 【キャンベラ(オーストラリア)】オーストラリアは米国が第2次世界大戦で使用した
南太平洋の海軍基地を再開発する。同地域では中国がますます存在感を強めている。

 オーストラリアとパプアニューギニアは1日、パプアニューギニアのマヌス島にある
ロンブラム海軍基地を増強することで合意した。
米豪両国軍にとって南太平洋の港湾や領有権争いの続く南シナ海へのアクセスが拡大される。

 マヌス島の基地は1944年に米軍が建設。日本軍から太平洋を奪回し、
フィリピンを解放する米国の作戦を支援する拠点となった。
 パプアニューギニアでは今月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる。
中国の習近平国家主席も出席し、地域諸国への資金支援を約束するとみられている。
 パプアニューギニアはここ数年、開発支援や融資を巡り、中国への依存を強めている。
インフラ建設プロジェクトなどのため中国輸出入銀行から19億ドル
(約2100億円)近い融資を受けているが、これは同国の債務総額の4分の1近い水準だ。

 APEC首脳会議を前にした事前協議のためにパプアニューギニア入りした中国の王毅外相は1日、
南太平洋諸国への支援拡大に一切期待は込めていないとし、「内政干渉をすることは決してなく、
支援に政治的条件が付くことも決してない」と述べた。
 中国外務省の陸慷報道官は、中国の目標は「太平洋島嶼国の和平、安定、繁栄の実現を後押し」
することだと強調。「関係国および関係者が冷戦的な精神を捨て、(中略)
中国と太平洋島嶼国の関係を客観的に見ることができることを願う」と述べた。

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◎ 中国のシャープパワー、「経済協力」に抗えない世界 (2018.11.2、Wedge)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14383

 中国の「シャープパワー」が、米国をはじめ国際社会で話題となり、
日本でも注目されるようになってきた。米国の危機感の高まりは、
中国のパブリック・ディプロマシー(PD)を、ソフトパワーではなく、
プロパガンダなどと批判するようになったことに現れている。

2017年末、米シンクタンクの全米民主主義基金(NED)がそうした中国の力をシャープパワーと命名し、
たちまち豪州などでも注目を集めることとなった。
 しかし、トランプ大統領のように「中国のPDはスパイ活動だ」と豪語し、
中国の働きかけをFBIの捜査対象とするなどといった対抗策を取ることは、
どの国にとっても容易いことではない。
とりわけ、中国と経済関係の深い途上国は、自国の発展・成長のために
中国からの経済支援を必要としている。
中国と関わりの深い途上国では、中国からの経済支援とPDが密接に関わりあっているのである。
前稿(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14382)では
中央アジアや東南アジアといった地域に見る中国のPDを見てきたが、今回はその続編として、
こうした中国の野心的なPDに抗えないでいる国や地域について紹介しよう。

太平洋島嶼国に対する中国の「支援」
 まず、太平洋島嶼国である。中国はここ数年の間に、
この地域で経済支援分野を中心にプレゼンスを急速に拡大させている。
太平洋島嶼国全体に対する中国の支援額は、2005年には4百万米ドルと少額であったものの、
5年足らずで約40倍にまで拡大した。

 こうした中国の動きに対し、米国をはじめ周辺国が警戒を強めている。
オーストラリアのフィエラバンティ・ウェルズ国際開発・太平洋担当相は、
2018年1月、「太平洋島嶼国において『無用の長物』でしかないインフラ事業に投資している」
と中国を批判した。
またニュージーランド政府は、同年4月、
バヌアツにおいて中国が恒久的な軍事拠点化を進めていることに反対の意向を示した。
バヌアツは、南シナ海における領有権問題で中国支持の立場を取っている数少ない国の一つである。

 中国は、パラオ、フィジー、パプアニューギニア、サモアといった太平洋島嶼国に対し、
軍事から、漁業を中心とした経済、文化、教育、医療病院、村落開発に至るまで
幅広い支援を行なっている。
太平洋島嶼国には、こうした中国からの投資や貿易の拡大を歓迎する声が多い。
GDPの多くの部分を、外国からの援助に頼る太平洋島嶼国にとって、
中国からの経済援助は欠かせないからだ。
 そして中国は、太平洋島嶼国地域に対するPDを、経済支援と同時進行で行ってきた。
中国中央電視台(CCTV)の無料放送(フィジー、トンガ、バヌアツ向け)をはじめ、2013年以降は、
奨学金提供、技術専門家育成支援、研修プログラム実施、2012年のフィジー南太平洋大学における孔子学院設置と、
多角的に展開されている。

中国が太平洋島嶼国地域を重視する3つの理由
 中国が太平洋島嶼国地域に対する影響力の拡大を企図する理由は大きく3つある。
台湾問題、海洋資源、地政学的重要性である。
 1つ目の台湾問題については、現在台湾と国交を結んでいる18国のうち3分の1
(キリバス、ソロモン諸島、ナウル、ツバル、パラオ、マーシャル)が太平洋島嶼国である。
同地域では、近年、中国と台湾の国交争奪戦が激しく繰り広げられているのだ。
 2つ目の海洋資源については、太平洋島嶼国地域の広大なEEZにおける豊富な
漁業・資源開発の可能性を睨んだものである。
同地域は、人口・面積の規模および経済構造だけでなく、海洋資源・鉱物資源の有無についても、
国によっても様々だ。
例えば、パプアニューギニアは、天然ガスを含めて鉱物資源の埋蔵量が豊富で資源的には大国である。
また、キリバスやナウルではリン鉱石が採れる。
その他、漁業資源が豊富である国も多く、開発の可能性がある。
 3つ目の地政学的な重要性は、太平洋における米軍のプレゼンスをけん制することである。
太平洋島嶼国は、日本〜台湾〜フィリピン〜ポルネオ島にいたる第一列島線、
日本〜グアム〜サイパン〜パプアニューギニアにいたる第二列島線、
ハワイの南側の海域にまで広がっている。
そのため、中国が太平洋に活動を拡大するため、
また米軍をけん制するための戦略的に重要な位置にあると認識されるのだ。
高まる警戒感、一層強引な「シャープパワー」を用いるか

 一方で、こうした中国の影響力拡大に対して、
太平洋島嶼国が警戒感を持っていることも事実である。
例えば、中国の大規模開発をめぐって地元住民が反発し、
それが大問題となっている。土地所有や環境破壊をめぐる問題だ。

 また、急激に増加する中国からの移民が、現地の小売や観光等の産業に進出し、
現地人のビジネスを圧迫しており、
各地で暴動や焼き打ちが勃発する事態になっているとの報告もある。
 太平洋島嶼国の中国に対する経済依存が進むことになれば、PDの効果も相まって、
同地域における中国のプレゼンスが今後も拡大し続けることになる。
一方、地元住民の考えを無視した中国主導の強引なやり方に対して、
現地の警戒感や不信感を醸成することになるため、それを抑え込むため、
中国は現地に対してますます強引な手法、つまりシャープパワーを用いるとも予想される。

アフリカにおける中国の存在感
 このように、中国が、途上国に対する「経済支援」を基にPD攻勢をしかけ、
現地の世論を自らの味方につけようと試みる国や地域は、太平洋島嶼国だけではない。
アフリカもその一つだ。
 アフリカにおける中国の凄まじい経済進出は周知の通りである。
直近では、2018年9月3日から4日に、北京で「中国アフリカ協力フォーラム」が開催され、
中国とアフリカ間の関係強化が約束されたばかりだ。
 これまで中国は、アフリカ各地におけるプレゼンスを積極的に伸ばしてきた。
2018年7月、習近平国家主席はアフリカ5か国
(アラブ首長国連邦、セネガル、ルワンダ、南アフリカ共和国、モーリシャス)を訪問し、
アフリカ外交を再強化する姿勢を見せた。
また、南アフリカではBRICS首脳会議に出席し、
米中貿易摩擦を激化させているトランプ政権を強くけん制するとともに、
中国の存在感をアピールした。
 中国がアフリカで影響を拡大させている理由として、
途上国の盟主としてアフリカ諸国を味方につけて国連外交などで主導権を握ることのほか、
豊富な資源の確保などが挙げられる。
その他、「一帯一路」構想のアフリカルートを強化する狙いもあり、
今後も同地域との協力を強化していくと考えられる。
 また、アフリカにおける中国の軍事面での協力関係強化も増大している。
ジブチの他の地域でも、中国が新たな軍事拠点化を目指していると報告されているのだ。
アフリカ東部や南部の国や地域が、港を軍事基地化して中国に提供する可能性があり、
これに対し米国等は警戒感を高めている。

現地メディアを駆使、世論工作も欠かさない
 こうした経済支援に加え、中国は、現地の世論工作も欠かさない。
1999年以降、中国当局は積極的な海外投資戦略を展開し、
アフリカ各国のメディアに対して、数百万ドル規模の投資を行って来た。
 2015年、アフリカとのサミットの場で、
中国は今後3年間のうちにアフリカ人記者を3000人育成することを表明しており、
2016年には習近平国家主席がアフリカの3大国営メディアを視察している。
中国は実際に、費用を全面負担し、アフリカ人記者を招聘してきた。
その狙いは、アフリカ国内の中国関連報道に間接的に関与し、
自国にとって有利な報道をさせることで、
アフリカの対中世論や政策にプラスの影響を及ぼすことだと考えられる。
これが、中国の対アフリカPDの中核だ。

 こうした中国のアフリカメディアの操作は、一定の効果を持っているように見える。
アフリカで、反中記事が削除されているのだ。
アフリカでは、報道機関の自己検閲が進んでおり、
それが中国に都合の良い検閲方法となっている。
2018年9月、米ジャーナリストが、南アフリカ第2のメディアである「インディペンデンス・メディア」
が発行する新聞電子版のコラムで、中国のウイグル人弾圧政策に関する評論記事を発表した。
しかし、同記事は数時間後に取り下げられ、
翌日には同ジャーナリストのコラムページすら削除されたという。
 このインディペンデンス・メディアは、中国と深い関係を有している。
中国の国有企業が同社の株式の20%を保有しており、
CCTV傘下の中国国際電視総公司(CITVC)と中国アフリカ発展基金(CADFUND)がその株主なのだ。
 また、文化面でも中国はプレゼンスを高めている。
現在、アフリカの多くの国で第一外国語として中国語を選択する若者が増えているという。
中国のPDはアフリカの若者の興味や価値観に大きく影響しているようだ。
2005年、ケニア大学にアフリカ初の孔子学院が開設されたことを皮切りに、
アフリカ大陸に次々と孔子学院が誕生した。
今日まで孔子学院は増え続け、アフリカで54カ所(2018年10月時点)に開設され、
140万人以上が授業を受けてきた。
米国などでは中国政府のプロパガンダと批判されることが多くなった孔子学院であるが、
中国は強気の姿勢を崩しておらず、今後もアフリカで数を増やしていく構えである。
 現在、アフリカ全体における現地住民の中国に対する好感度は、日本を大きく上回っている。
外務省による2017年のアフリカ地域における世論調査によると、
「最も信頼できる国」を中国と回答した割合が33%で、日本や欧米各国など19カ国の中で最多となった。
一方、日本と回答した人はわずか7%だった。

徐々に高まる警戒感、人種差別問題も
 しかし、経済力をてこに影響力を増す中国に対する不信感も、
アフリカで少しずつ芽生えつつある。
例えば、2018年9月、
ケニアの警察当局は中国国営メディアの中国人記者を不当滞在取り締まりの一環として拘束した。
中国で「中国アフリカ協力フォーラム」首脳会合の最中の出来事だった。
こうした重要な期間にケニア当局が中国人記者を拘束した背景には、
同国内の中国の影響拡大への不信感があるとの指摘もある。
 また、中国の現地人に対する人種差別問題への関心も高まっている。
米紙ニューヨークタイムズによると、同年9月、
中国人実業家がケニアの現地従業員に対し「皆、サルだ」と暴言を吐き、
その様子がツイッターに投稿され、大問題となった。
ケニア政府はこの中国人実業家を逮捕、国外退去手続きを行っているという。
 ケニアの事案のように、中国の対アフリカ外交で表明した内容、
および中国の対アフリカPDが、実際の行動と一致していないことが、
中国PDの効果を限定的なものとしている。
こうしたケースはまだ極一部だが、今後、現地での中国の態度が変わらない限り、
アフリカにおける対中警戒感や不信感は徐々に拡大していくことも考えられる。
太平洋島嶼国とアフリカにおける、中国の経済進出およびそれに伴うPDのやり方、
そしてそれに対する現地の反応には、相似が見られる。
そして、国際社会は、こうした中国の動向について、
環境破壊や債務漬けといった懸念を持って注視している。
太平洋島嶼国に関しては、米国や旧宗主国である近隣のオーストラリアやニュージーランドが
警戒を強めており、
アフリカに関しては、旧宗主国であり同地域を自国の裏庭と考えるフランスが警戒感を高めている。
実際、前述の習氏のアフリカ歴訪に含まれたセネガルにとって、中国は第2位の貿易相手国であり、
第1位のフランスを追い上げている。最近建設された国内のインフラの大部分は中国企業によるもので、
道路をはじめ、競技場、劇場版、国立レスリング場、博物館といった娯楽施設まで建設されたという。
関係各国との協力を
 では、こうした途上国に対する中国の経済支援を軸とした野心的なPDに、
日本はいかに対処していくべきだろうか。
 まず、対アフリカでは、フランスとの協力が可能である。現在フランスは、
日本との安全保障協力の強化を求めている。
マクロン大統領は、2018年3月にインドを、5月にオーストラリアを訪問し、
防衛・安全保障面での関係強化を要請した。
また7月には、日本とインド太平洋地域の安全保障で協力を強化することで合意している。
こうしたフランスの動向の背景には、イギリスのEU離脱やトランプ政権の誕生などによって、
インド太平洋地域に頼りとなる相手が存在しなくなったという認識が生じたことが考えられるが、
対中認識の変化も大きな理由の一つだろう。
 フランスには、日本、インド、オーストラリアとの安全保障協力を軸に、
中国による海洋覇権の拡大をけん制する狙いがあると考えられるが、
その背景に、中国寄りだったフランス産業界でも、
中国とのビジネス上のリスクについて懸念が持たれ始めたことがあるという。
中国に配慮する必要がなくなりつつあるということだ。
 現在のインド太平洋地域の情勢や各国の動向に鑑みれば、
これからの日仏関係は、文化のみならず安全保障分野での協力体制を強化し、
深化させる余地があろう。
 また、対太平洋島嶼国については、米国はもちろん、
新たにオーストラリアやニュージーランドとの協力の可能性があるだろう。
特にオーストラリアと日本の間では、安全保証面での戦略的な協力強化が必要とされており、
2018年1月のターンブル豪外相との会合では、両国の防衛協力拡大について協議されたばかりである。
太平洋島嶼国とオーストラリアは地理的にも関係が深く、島嶼国にとってオーストラリアは、
最大の援助ドナー国および貿易相手国でもある。
オーストラリア自身も、中国の台頭が自らの影響力を削ぐのではないかという警戒感を示しているため、
日豪協力の道も模索できそうだ。
そして、日本は島嶼国各国に適した経済援助を実施していることから、
PDの方途も、それぞれの国に見合った働きかけに変えていくことも可能となろう。
日本の外務省によると、援助アプローチの前提となる「開発ポテンシャル」という観点から、
島嶼国地域の国々を3種類に分類して、各国の状況に適した援助を実施している。

相手目線に立ったパートナーシップ構築を
 日本はこれまで、中国のシャープパワーの被害を間接的に受けてきた。
例えば、国際社会における中国による歪曲された史実の発信や、
それに伴う国際社会からの「懸念」や「反日感情」などの増大であった。
これからも、中国のシャープパワーを抜きに日本が自らのPD戦略を考えることはできないだろう。
 国際社会で中国のPDに警戒感が高まっていることは、日本にとって決して悪い流れではない。
日本には、中国のシャープパワーやPDに警戒感を持っている世界の国々との協力の余地が広がるからだ。
日本は、太平洋島嶼国やアフリカと歴史的繋がりや政治的繋がりが深い。
太平洋島嶼国とは、太平洋・島サミットを通じて、双方の関係を深化させてきた。
また、アフリカとは、ODAに加え、アフリカ開発会議(TICAD)を通じた繋がりがある。
 太平洋島嶼国やアフリカをはじめ、その関係国であるオーストラリアやニュージーランド、
フランスとの良好な関係を持つ日本の役割は重要である。

日本は、中国の台頭に警戒感を示す周辺国との協力を強化しつつ、
独自の対太平洋島嶼国、対アフリカ政策をも模索していく必要があるだろう。
「圧力」や「強引」な手法ではなく、対象国や地域の考えやニーズを敏感に理解し
政策に反映させていくことで、
相手国と同じ目線でのパートナーシップを築いていくことが可能になるだろう。

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◎ 「阪神・淡路の復興に感動」島国18カ国の40人が災害研修 (2018.11.2、神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/bousai/201811/0011786020.shtml
 11月5日の「世界津波の日」に合わせ、太平洋やインド洋諸国の女性に、
防災活動のリーダーシップを促す研修が2日、神戸市中央区の人と防災未来センターで開かれた。
18カ国の政府や市民団体の関係者ら約40人が参加した。
 各種の研修事業を展開する国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所が主催。
参加国はパプアニューギニア、ミクロネシアなど、気候変動による被害を受けやすい島国で、
神戸市のほか、仙台市や和歌山市などを訪れる。
阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験を通じ、復興の過程や災害リスクを減らす取り組みを学び、
今後の防災活動に女性の視点を取り入れる。
 参加者は震災資料を見学後、語り部の津久井幸子さん(88)による講演を聴いた。
倒壊家屋の生き埋めになり助け出された体験や、
支援の手を差し伸べてくれた友人の言葉に、真剣な表情で耳を傾けた。
 太平洋上の島国ニウエの非政府組織(NGO)職員フィアフィア・レックスさん(34)は
「阪神・淡路の被害は恐ろしかったが、まちが力強く復興を遂げたことに感動した。
自分の国でも、災害前のシミュレーションをしておくことが必要だと感じた」と話した。


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◎ 中国 王毅外相が欧米に反論 対外援助巡る批判受け(2018.11.2、毎日)
https://mainichi.jp/articles/20181102/k00/00m/030/095000c
【北京・浦松丈二】中国の王毅国務委員兼外相は10月31日、
中国の融資を受けた国が債務漬けになっていると欧米諸国から批判されている対外援助について
「対等、互恵、開放的、持続可能」の4原則に基づき実施していると説明した。
訪問先のパプアニューギニアの首都ポートモレスビーでパト外務・貿易相との共同記者会見で述べたと、
11月1日付の中国各紙が報じた。
 王氏によると、中国はパプアなど太平洋の島国で国際会議場、港湾、道路、オフィスビル、
学校、病院など100件以上のインフラ建設を支援。学生1300人以上の中国への留学や
4000人以上の専門的な人材の育成にも協力している。
 王氏は会見で「中国の支援が良いのか否かは、
支援を受けている国とその国民に最も発言権がある」と主張。「あれこれ指図するなら、
自分で島国を幸せにすることを少しでも行った方がいい」と批判に反論した。
 しかし、「融資返済のために政府予算を削減しなければならなくなっている」
(トンガのポヒバ首相)などと援助を受ける当事国から債務免除を求める声が出始めており、
中国政府内にも「無秩序な対外援助を続ければ、国民の理解も得られず、
欧米との摩擦を招く」と危機感が広がっている。

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◎ JICA, Kumul Consolidated Hand Over Sports Facility To Joycy Bay Community (2018.11.5,
Post-Courier )
https://postcourier.com.pg/jica-kumul-consolidated-hand-sports-facility-joyce-bay-community/

Horsecamp Zone 5 community in the Joyce Bay area,
situated in Moresby South electorate were the recipients of a modern sport facility
worth K250,000 thanks to Kumul Consolidated Holdings (KCH)
and Japanese International Cooperation Agency (JICA).

Development of the basketball and volleyball court is a gesture of appreciation
towards the community as host to the multimillion kina Port Moresby Sewerage Treatment Plant.

The sewerage treatment plant is 98 per cent complete
and will be launched during the APEC Leaders' Summit in November by Prime Minister Peter O'Neill
and his Japanese counterpart, Prime Minister Shinzo Abe.

The facility was formally handed over to Moresby South MP Justin Tkatchenko
on Wednesday (October 31) in a small but significant ceremony witnessed by the management teams of
KCH, Eda Ranu, Japanese project developers Dai Nippon Construction
and Hitachi JV, NJS Consulting Engineer and the community.

Mr Tkatchenko thanked the development partners for the facility on behalf of the people
and made a commitment to support a community tournament at the end of the year.

"I am making a commitment to sponsor a tournament in December
that will be played on this very court," he said.
"It is now upon the community leaders to organise themselves
and send a proposal to the electorate office for funding.
"I also call on the people to take responsibility of the facility."
The sport facility lies in the centre of the community
and will also be utilised for other communal activities.

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◎ Old cars and good cars (2018.11.6、National )
https://www.thenational.com.pg/old-cars-and-good-cars/
THE decision to limit the age of imported used Japanese cars
to five years or less by the Consultative Implementation a
nd Monitoring Council (CIMC) and the Transport Department is flawed.

Japan has one of the best transportation systems
and auto manufacturing industries in the world.

It has stringent control over the safety and age of cars
that can be allowed on public roads and highways.

Therefore, the public and secondhand car dealers must question
the rationale behind the introduction of this age-limit requirement.
The economic justification for importing used cars is to provide competition
to the few established car dealers who have the monopoly
over the car dealership market in Papua New Guinea.

These monopoly dealers squeeze so much money out of car owners in PNG
just to pay huge annual dividends to their shareholders abroad.
Imposing an age limit will not solve the constant car accidents
and destruction of public property such as power lines, street lights, and plant pots.
The following are the causes of car accidents in Port Moresby:

•    The rapid increase in the use of automatic cars,
 which are favourable to the many unqualified drivers
who sit behind the wheels on the road.
•    Drink driving and phone use while driving on the road,
 which have been made all too easy with the use of automatic cars.
•    Information asymmetry problem where the owners of the vehicles
 have full knowledge of the condition of their cars
but the authorities such as the traffic police and Department of Transport officials do not.

This problem greatly increases the risk to the public and the safety of people
 travelling in unroadworthy cars.

•    Corruption and bribery between car owners and traffic police
and officials of the Department of Transport.

This illness allows so many unroadworthy cars, drink drivers, and phone users on the road,
creating a major public safety risk.

•    The National Capital District Commission, the Police Department, and Transport Department
have not implemented a system to track down
and impose fines on drivers that destroy public lights and plant pots,
including thieves who steal switches from public lights.
To address traffic accidents requires specific actions on the above five causes.
In addition, PNG needs to return to manual cars,
introduce a check system where all imported used cars pass a safety test before they go on sale,
and introduce CCTV monitoring and a fine system in the cities.

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◎ 日韓首脳会談見送りへ、徴用工で (2018.11.6、ロイター)
https://jp.reuters.com/article/idJP2018110601002879
共同通信
 日韓両政府は、11月の国際会議に合わせた首脳会談の開催を見送る方向となった。
韓国最高裁が新日鉄住金に賠償を命じた元徴用工訴訟判決を受け、
対話の環境が整わないと判断。文在寅大統領の年内来日も先送りが確実となった。
複数の日韓関係筋が6日、明らかにした。
日韓共同宣言から20年の節目に本格的改善を目指した両国関係の悪化が鮮明になった。
 安倍晋三首相と文氏は、今月中旬にシンガポールで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議や、
パプアニューギニアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する見通しだ。

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◎ 日本の外交、「米国頼み」から変化―中国メディア (2018.11.7、ニコニコニュース) 
 https://news.nicovideo.jp/watch/nw4150640
2018年11月4日、参考消息網は、日本の外交が「日米同盟頼みを脱しようとしている」と伝えた。
記事は、米紙ワシントン・ポストが「日本外交が『日米同盟プラスワン』へ方針転換している」
と報じたことを紹介。
安倍晋三首相は自ら掲げる「インド・太平洋戦略」に基づき、アフリカ諸国の指導者に団結を要請。
「自由で開かれたインド・太平洋」をスローガンに、貿易と航行の自由を守り、
法に基づく市場経済の発展を提唱したとした。
その上で、「トランプ米大統領の就任以降、米国は日米同盟に重きを置かなくなり、
日本は自ら前を向いて進まざるを得なくなっている。
オーストラリアと軍事分野、ニュージーランドと海上安全保障分野で協力を推進することで一致。
今後5年でアジアのインフラ整備に1100億ドル(約12兆4500億円)、
アフリカ投資に300億ドル(約3兆4000億円)を注ぎ込む方針だ。
パプアニューギニアやケニアで港湾、空港、道路整備、
インドでは高速鉄道建設に大規模投資している」と指摘した。
また、「安倍首相は中国との関係改善に前向きで、7年ぶりに中国を公式訪問した」と伝え、
日本のアジア問題専門家の言葉として「トランプ政権の対中強硬姿勢とは対照的で、
日本は中国との衝突で起きる悪影響を懸念している」と伝えている。(編集・翻訳/大宮)


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◎ 豪、太平洋諸国向けインフラ支援基金 1600億円規模 
(2018.11.8、日経)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37518310Y8A101C1FF8000/
【シドニー=松本史】オーストラリアのモリソン首相は8日、
太平洋諸国のインフラ支援のために20億豪ドル(約1650億円)のファンドを設立すると発表した。
地域でインフラ支援を通じて影響力を強める中国に対抗する。
豪州の支援はこれまで治安維持や災害復旧、医療や教育分野などが主だったが今後、
需要が多いエネルギーや通信、交通、水資源など重要インフラへの支援を増やす。
 太平洋諸国では中国によるインフラ支援が目立つ(中国支援の道路改修の記念碑、トンガ)
モリソン氏は2030年までに太平洋諸国では毎年31億米ドル(約3500億円)のインフラ需要があると指摘。
地域向けに「豪インフラ融資機関」を設立し、20億豪ドルを融資するとした。
同氏は「太平洋諸国への関与を新たなレベルに引き上げる」と強調。
「歴史的な経緯や地理的な近さはあるが、
豪州は地域への影響力を当然のものとしてとらえられなくなった」と
、相対的に豪州の存在感が低下していると述べた。
名指しこそさけたが、念頭にあるのは地域で台頭する中国への強い危機感だ。
中国はパプアニューギニアに加えバヌアツ、サモアなどを中心に太平洋諸国にインフラ支援を続けている。
無償支援が中心の豪州に対し、中国は有償支援も多く、トンガなどでは対中債務が膨張する。
こうした小国が返済に窮し、
港湾など安全保障上重要な施設の使用権を中国に譲り渡す「債務のワナ」に陥るとの懸念も出る。
豪州は需要が根強いインフラ支援を増やすことで地域への関与を深め、
こうした事態を未然に防ぎたい思惑もある。
ニュージーランド(NZ)も8日、太平洋諸国向けに1千万NZドル(約7億7千万円)の基金を設立すると発表した。
文化やスポーツ交流、軍事協力などにあてられる。
ピーターズ副首相兼外相は声明で「今後2年間で地域に派遣する(外交官などの)職員数も増やす」とし、
関与を深めていく考えを示した。


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◎ APEC、自由貿易圏構想を協議 保護主義に懸念 (2018.11.8、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37551710Y8A101C1FF1000/
【シドニー=松本史】パプアニューギニアで17日から開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、
広域の自由貿易圏構想などが協議されることが8日、分かった。
また、米中貿易戦争が過熱する中、保護主義などについても議論が行われる見通しだ。
首脳宣言の発表に向け、米国が主張する2国間主義とAPECの多国間主義のせめぎ合いが予想される。
日本経済新聞社が入手した首脳宣言の草案では、
APECの21の参加国・地域による地域経済統合である「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」実現に向けた
取り組みの「重要性を認識する」と記されている。
FTAAPは過去にも議論されてきたが、参加国・地域の経済規模の差などから取り組みには温度差があり、
実現にはなお時間がかかりそうだ。
保護主義を巡っては「経済成長が損なわれる」「市場をゆがめる補助金などの排除を推奨」などと懸念を示した
ただ、2017年の首脳宣言に明記された「あらゆる不公正貿易慣行を含む保護主義に対抗する」
との文言は今回の草案には含まれていない。


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◎ 台湾、TPP参加希望を日本に伝達へ 11月中旬 (2018.11.8、日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37570710Z01C18A1FF8000/
【台北=伊原健作】台湾は環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を目指す方針を固め、
TPPを主導する日本政府に伝える。
11月中旬にパプアニューギニアで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会に
安倍晋三首相へ意向を示す。

台湾で経済政策の司令塔の役割を担う国家発展委員会の陳美伶・主任委員(閣僚)が
日本経済新聞のインタビューで明らかにした。
台湾はTPP参加を経済成長だけでなく、国際社会で存在感を高めるためのテコに使う考え。
だが、国際的な枠組みへの台湾の参加に関しては中国が常に反対する。
陳氏も、中国が加盟阻止に動く可能性が高いことを認め危機感をにじませた。

台湾は中国とともにAPECのメンバー。
台湾の蔡英文政権はAPEC首脳会議に、半導体受託生産の世界最大手、
台湾積体電路製造(TSMC)の創業者・張忠謀(モリス・チャン)氏を代表として派遣する。
張氏が現地で安倍氏と会い「TPP参加の希望を直接伝える」と陳氏は述べた。
米国が離脱したTPPのメンバーは11カ国。
12月30日に国内手続きを終えたメキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、
オーストラリアに6カ国で先行発効する。
11カ国は2019年1月にも日本で閣僚級のTPP委員会を開き、参加国拡大を協議する。
すでにタイ、英国などが関心を示している。
追加参入の条件が決まり次第、台湾はTPP参加を申請する方針だ。

陳氏は現在の11カ国による「TPP11」の参加国に「水面下で参加の意向を伝え始めた」と説明した。
これに日本も含まれるかどうかは不明。
関税引き下げは参加国との個別協議が必要になるため、窓口機関などを通じて調整を始めた。
台湾側ではすでに「TPP参加に向けた知的財産権など法律面の準備はほぼ完了した」と話す。

蔡政権はTPP参加を通じ、台湾を世界的な自由貿易の枠組みに組み込む狙いだ。
17年にもTPP参加への意欲を表明した。その際はTPPのメンバーでない中国が、
中台は一つの国に属するという「一つの中国」原則を持ち出して反対した。
TPPにはチリ、ベトナムなど中国と関係の深い国も参加。
中国が台湾の参加を拒むよう働きかける可能性がある。
陳氏は「中国はあらゆる圧力で台湾を国際空間から締め出そうとしており、
(TPPへの介入も)想定外ではない」と述べた。

台湾は交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への加入も目指すが、
RCEPのメンバーの中国の反対で実現していない。
16年に発足した蔡英文政権は「一つの中国」原則を認めず、中国との関係は冷え込んだまま。

陳氏はペンス米副大統領が10月、台湾に対する中国の圧力を批判したことに言及。
「国際情勢が急変するなかで(台湾は国際社会で存在感を高めるため)
あらゆるチャンスをつかまなければならない」と主張した。
台湾は1991年、APECに「中華台北」として参加。

APEC首脳会議は台湾側の代表が、
正式な外交関係のない日本の首相と接触できる数少ない機会の一つだ。
台湾はTPP参加を実現するには日本の支援が必要だと考えている。
だが、日台間では、11年に起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、
台湾が福島など日本の5県産の食品の輸入を禁じている事態の打開が懸案になっている。
蔡政権は16年、規制緩和を試みたが、台湾の住民や野党の反対で暗礁に乗り上げた。
陳氏はTPPと日本産食品の輸入禁止は「異なる問題」と指摘したうえで「影響しないよう願う」と述べた。
一方、日本政府は台湾のTPP参加希望を表向き歓迎するが、困惑の声もある。
台湾の参加を支持すれば中国を刺激し、
友好ムードに転じてきた日中関係に影響しかねないとみられるからだ。
TPPは米国が離脱後、安倍晋三首相の旗振りで実現にこぎつけた。
参加メンバー拡大は追い風だが、日本政府関係者は「中国を刺激しかねず、困ったものだ」と語る。
安倍氏の10月の訪中で日中関係は改善の流れが軌道に乗りつつある。
19年は6月に日本で20カ国・地域(G20)首脳会議を開き、
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の公式来日も見込む。
19年夏の参院選を控え、
安倍氏は日中友好を外交の成果としてアピールするためにも
障害となる要素をなるべく除いておきたいのが本音だ。

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◎ 一帯一路に対抗、米がインド太平洋に6・8兆円 (2018.11.8、読売)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20181109-OYT1T50139.html
【ワシントン=黒見周平】ペンス米副大統領は、
パプアニューギニアで17日から開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、
インド太平洋諸国を中心とした社会基盤(インフラ)整備のため、
最大600億ドル(約6兆8000億円)の支援を行うことを表明する。
米政府関係筋が明らかにした。
ペンス氏は首脳会議で演説し、米中間選挙後のトランプ政権の対中国政策として、
日本や豪州と連携し、中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する考えを打ち出す見通しだ。
トランプ政権は中国に対し、南シナ海での米海軍による「航行の自由作戦」などで
安全保障上の圧力を強化することに加え、社会基盤支援でも影響力を拡大する考えを示す狙いがある。

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◎ 日本人所有の唯一の零戦が海外流出へ(2018.11.10、サンスポ)
https://www.sanspo.com/geino/news/20181110/sot18111017590007-n1.html

 第二次世界大戦で日本海軍の主力戦闘機だった零式艦上戦闘機(零戦、ゼロ戦)は
、現在世界中で飛行可能な機体は5機のみ。そのうちの1機は日本人所有で、2017年6月、
戦後初めて日本人パイロットの操縦により日本の空を飛んだとして話題になった機体だ
しかし維持費の問題からオーナーが売却を決意せざるを得なくなり、海外に"流出"することがほぼ確実となった。
ただオーナーは国内動態保存の望みも捨てきれず、
契約が決まるまでの残された数カ月に「なんとか日本が手を上げてくれないか」と話している。
 現在、飛行可能な零戦を所有している唯一の日本人は、ニュージーランド在住で、
フライトジャケットなどを製造販売する「THE FEW」を経営する石塚政秀氏(57)。
そして石塚氏が所有している機体は、1943年に三菱で製造された零戦22型第3858号機。
尾翼には「AI-112」と記されている。
米ハリウッド映画「パールハーバー」にも"出演"した。
ちなみに零戦は全部で約1万400機生産されたとされる。
 同機はパプアニューギニアのラバウル付近で朽ち果てていたが、
1970年代に米国のサンタモニカ航空博物館により回収。
その後ロシアでほとんどの部品をリバースエンジニアリングにより、
製造当時同様に新造して復元された。
エンジンは再生不可能だったため、第二次大戦時の米国機に多く使われていた
プラット&ホイットニーR1830を手直しして取り付けている。


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